日立製作所は9月11日、回転偏波無線機の試作に成功したと発表した。
回転偏波は、従来の無線通信(直線偏波)と異なり、電波の振動方向(偏波)が回転することにより、さまざまな障害物がある環境でも電波を到達可能とする通信方式で、日立が独自に開発しているもの。
今回試作した無線機は、送信された回転偏波から、最適な偏波を自動で選択して受信することができる。日立の工場(270×30×20メートル)で実証実験を行ったところ、従来の無線通信では金属構造物などに電波が反射してしまい、送信機で送信した無線パケット数に対して受信機で復調できなかったパケット数の「誤り率」が0.1以上だった。同試作機を用いることで、誤り率が0.01未満となり、全ての地点で良好な通信が可能になることを確認された。
直線偏波と回転偏波の違いと試作機での受信状況
今後日立では、実証実験を重ねることで回転偏波無線通信技術の開発・実用化を加速し、高い信頼性を要求されるIoTシステムへの活用をめざしていく。
同社は回転偏波による無線通信を2010年に考案し、独自に原理検証を行ってきた。しかし、送信された回転偏波は、複数の方向から受信機に届くため、効率良く受信・復調することが困難だった。
そこで今回は、回転偏波が受信機に到達するまでの複数の経路(伝搬路)ごとに偏波の受信状況を評価し、最適な偏波を選択した上で復調する技術を開発した。さらに、その後に続くデータ部分を受信する際に、選択した方向の偏波のみを抽出し、復調する。これらの技術を無線通信の受信機に用いることで、障害物の有無やレイアウトなどの影響を受けずに、良好な通信品質を維持可能な無線機を試作することができた。