ミック経済研究所は9月28日、パブリッククラウドで提供される顧客管理システム(CRM)市場の動向をまとめた。パブリッククラウドでCRMを提供するICTベンダー約163社を対象とし、主要ベンダー58社を調査したデータをもとに総市場を集計、分析した。今回はチャットシステムも追加した。
2016年度のパブリッククラウド型CRMの総市場規模は、前年比22.7%増の2016年度1291億6000万円となった。オンプレミスの市場がダウントレンドで推移するのに対して好調に推移していると指摘している。
この背景には、コストを資産としてではなく経費として計上できるメリットに加え、登録後すぐにサービスを利用でき、規模拡張やバージョンアップがスピーディなことでリードタイムの短縮化が図れるなどのメリットがエンドユーザーに広く認知されつつあることなどを挙げている。ネットワークセキュリティも格段に向上しており、障害時対応にも万全な体制を敷くことでエンドユーザーのクラウドに対するアレルギーはかなり払拭されてきているようだという。
営業現場にあっても、エンドユーザーから出される提案依頼書(RFP)はパブリッククラウドを前提にしたものか、パブリッククラウドとオンプレミスの両方で見積もりを求められることが多くなっており、これにより結果的に市場も拡大していると説明している。
こうしたことから、2016年度以降、年平均成長率24.2%で推移し、2021年度は3867億円にまで拡大すると予測している。
好調に市場を拡大させるパブリッククラウドに対し、オンプレミスは2016年度までは横ばい、2017年度以降はダウントレンドで推移し、2016年度5000億円であった市場が2021年には1700億円減少し、3300億円になると予測する。
内資外資のメーカー系ベンダーや大手システムインテグレーター(SIer)の多くが、いまだオンプレミスの市場にこだわってパブリッククラウドに大きく舵を切れずにいる中で、エンドユーザーは間違いなくクラウドファーストに舵を切り始めていると状況を説明する。
これらのことを総合的に判断し、2021年度までのクラウド市場とオンプレミス市場のシェアの推移を予測すると、2016年度で20.5%を占めるクラウド市場が2021年度には54.0%と過半数を占めると予測される。
クラウド型CRM総市場推移とオンプレミス型CRM市場との市場推移比較(出典:ミック経済研究所)
今回の調査対象範囲(出典:ミック経済研究所)