Appleが米国時間9月12日に発表した「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」「iPhone X」は、メディアの見出しを飾り、仕様や機能、価格に関する議論を巻き起こした。これらの新製品は、今後「Apple Watch」の用途を拡大する可能性もある。しかし、目を向けるべき点は他にも多くある。
以下では、12日の「iPhone」発表イベントについてビジネスプロフェッショナルが知っておくべき事項と、それらが意味するところについて解説する。
ハードウェアに惑わされてはいけない
今回のiPhone発表イベントで重要なのはAppleのロードマップだ。つまり、人工知能(AI)分野での追い上げであり、新たな製品ラインアップの開発であり、拡張現実(AR)に関することでもある。もちろん、iPhone Xの256Gバイトモデルに1149ドル(国内では税抜12万9800円)の価値があるかどうかについては誰もが深く考え込むだろうが、今回のイベントは未来に向けた舞台を作り上げることに意味があったのだ。
Appleの最高経営責任者(CEO)Tim Cook氏が語った内容はすべて、同社が今後進んでいく方向を暗示していた。iPhoneの機能向上やアップグレードは、AI分野やAR分野における同社の今後の動きをサポートできるハードウェアプラットフォームを作り上げるためのものと言ってもよい。
その意味するところは?
筆者は、iPhoneがAppleの看板製品であり続けたとしても、同社が今後サービス企業へとシフトしていけば、多くの人々は同社をプラットフォーム企業と捉えるようになると考えている。
1000ドルクラスのスマートフォン
iPhone Xは999ドル(11万2800円)という、1000ドルを下回る価格のモデルも用意されているが、多くの人は256Gバイトのモデルを選択するだろう。ただ、「Face ID」機能や動く絵文字機能が、この最上位モデルを選択するだけの価値を持っているかどうかは分からない。これら2つの機能を別にすれば、iPhone Xは実質的にiPhone 8 Plusと同じ性能を有しており、256GバイトモデルのiPhone 8 Plusは949ドル(10万6800円)で入手できる。
その意味するところは?
iPhone Xの真の競合はiPhone 8 Plusだ。
iPhone 8とiPhone 8 Plusは逓増的に性能強化された製品なのか?
iPhone 8とiPhone 8 Plusは買い替えという観点で見た場合、十分に優れているが、どこか逓増的な性能強化にとどまっている印象も受ける。最上位モデルであるiPhone Xに注目が集まっているのは当然だ。しかし、ほとんどの人にとって、iPhone 8やiPhone 8 Plusには買い替えるだけの十分な理由がある。
Appleのスマートフォンユーザーの多くが「iPhone 6s」かそれ以前の機種を使用している点を思い出してほしい。結果的に彼らは、iPhoneが10周年を迎えるまで買い替えを控えていたことになる。
その意味するところは?
新しいiPhoneに買い替えるというスーパーサイクルはいまだ健在だ。