マルウェア「Mirai」に感染したIoTデバイスによって構成されるボットネットが仕掛けた分散型サービス妨害(DDoS)攻撃は、世界中にさまざまな被害をもたらした。これに続くIoTボットネットの新たな攻撃の発生が懸念されている。
イスラエルのCheck Point Software Technologiesや中国のQihoo 360は10月20日までに、新たなIoTボットネットが形成されつつあると発表した。Check Pointは「IoTroop」、Qihoo 360は「IoT_reaper」と命名し、既に数百万台規模のIoTデバイスがマルウェアに感染していると指摘する。
マルウェアに感染している主なデバイスは、インターネットに接続された監視カメラとされる。2社によれば、感染攻撃ではMiraiなどのように、機器に設定された脆弱なデフォルトのID、パスワードなどを使わず、既知の脆弱性を突くという。少なくとも8社もしくは9社のメーカーの製品に存在する脆弱性が悪用されているといい、幾つかの脆弱性は10月に脆弱性が公表されたばかりだ。
Check Pointは、一例として、兵庫県芦屋市に設置されているとみられるGoAheadのカメラがマルウェアに感染している様子を報告。詳細は不明だが、製品に存在する認証回避の脆弱性「CVE-2017-8225」が突かれたとみられ、この製品が海外の別のネットワークカメラに対してマルウェア感染攻撃を仕掛けているという。Check Pointの観測では、このマルウェアに関連するとみられる通信が、同社の「ThreatCloud」を利用する企業ネットワークの約60%で見つかっているという。
Check Pointが例示したマルウェア感染カメラは、兵庫県芦屋市にマッピングされている
2社とも10月20日時点で、このIoTボットネットが発生源となるようなサイバー攻撃を観測しておらず、攻撃者の正体も不明。しかし、ボットネットの構築が急ピッチで進んでいることから、攻撃に備えた準備が必要だと警鐘を鳴らしている。