三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)と三井住友銀行(SMBC)は、データキャプチャ技術で紙帳票を電子化し、グループ全体の抜本的な業務効率化を支援するOCR(光学文字認識)基盤を構築した。
営業店でのデジタル化などによりペーパーレス化に取り組む一方、依然として紙帳票が大量かつ複数に存在。事務センターを中心に人手による入力作業の効率化が求められてきた。市場の高齢化に伴って今後増加が見込まれる業務への対応も必要となる。OCR基盤とRPA(ロボティックプロセスオートメーション)を連携する仕組みを構築することで、生産性向上と業務効率化を進めている。
データキャプチャ技術には「IBM Datacap Insight Edition」を採用した。画像処理、自然言語処理、機械学習の技術を組み合わせることで、文書の分類と内容の把握を自動化する。自動帳票分類やテキスト分析といった機能を備え、非定型帳票を含む紙資料から銀行業務に必要な情報を抽出する。少量多品種の帳票にも対応し、RPAと連携することで、これまでRPA単体では難しいとされる紙を使った業務効率化も可能になるとしている。
OCRソフトについては、Datacapに標準搭載のものに加えて、他社製ソフトと組み合わせることも可能。SMFGとSMBCでは、帳票別・項目別に最適なソフトを組み合わせて実装を進めているという。
また、複数の業務に対応する共通利用構造になっている。個別登録が必要だった辞書や文字を認識するOCRエンジンを共通利用できる。実装を短期化するほか、構築費や運用費の削減も見込む。
SMFGとSMBCでは、事務センターへの適用だけではなく、営業店後方や本部まで適用を拡大していく予定としている。