日本独自の大企業向けAI戦略
日本テラデータは2017年12月6日、Think Bigアナリティクスが提供するエンタープライズAI(人工知能)戦略に関する説明会を都内で開催した。同社Think Bigアナリティクス本部長 小峰誠司氏は、「ビジネスコンサルティング、データサイエンス、ソリューション開発がそろっているわれわれの武器。(AIソリューションを)パッケージ化して顧客の要望を計画立案・議論できる企業は少ない」と自社の戦略に自信を見せた。
日本テラデータ Think Big アナリティクス本部長 小峰誠司氏
7月にTeradataが日本を含む260社のグローバル大手企業を対象に実施した調査によれば、80%の企業がAIを既に実装し、ビジネスリーダーの3人に1人は競合企業と同等の投資を維持するため、今後3年間にわたる追加投資が必要だと考えている。AIビジネスを推進する同社調査のため、一定の偏りは発生していることは否めない。だが、各企業がAIに強い関心を持ち、導入を望んでいることに間違いはないだろう。
その証拠として、同調査による各企業のAIへの期待値は収益増加が53%と、コスト削減/効率性向上の47%を上回る。しかし、ここには大きな課題が残る。AIソリューション導入判断や構築、実装に関わる人材が充実している企業はわずか28%。そのため日本テラデータは、「Think Bigアナリティクス」を1つのブランドとして立ち上げ、日本国内でビジネスを進めてきた。
日本テラデータは大企業向けAI戦略として、適切な商品を顧客に提案する「レコメンデーションエンジン」、新規顧客の獲得や顧客離れを回避する「カスタマージャーニー」、将来の販売/需要予測で売り上げ向上を目指す「需要予測」、IoTデータを活用した故障・障がいを予測する「PAM/IoT」、映像から人や物の状態を検出して理解する「コンピュータービジョン」、既存ビジネスプロセスを自動化する「アナリティクスの自動化」、非構造化テキストデータを理解する「音/音声/言語処理」の7区分を用意する。
2017年度は製造業と連携するPAM/IoT、自動運転車での利用期待が高まるコンピュータービジョンの売り上げが大きく、既に目標値の170%に達しているという。同社は約6週間で開発を完了させるアジャイル手法「RACE(Rapid Analytic Consulting Engagement)」の効果が大きかったと説明しつつ、2018年度から金融業界に注力しながらも、「顧客は何億円となる投資に抵抗感を持つ。我々はRACEによる事例を示しつつ、他の区分でもサービスをパッケージ化して売り上げ向上を目指す」(小峰氏)と抱負を述べている。
これらのソリューションを可能にする背景には、2014年にTeradataが買収したThink Big Analyticsの存在が大きい。Think Big AnalyticsはOSS(オープンソースソフトウェア)に特化したHadoopのサービス企業だが、2017年からはTeradataのグローバルサービス部門に加わり、ビジネスコンサルティングやデータサイエンス、ソリューション開発、そしてビジネスインテリジェンス分野を担当している。既に日本国内でも展開を開始し、ビジネスコンサルティング部門が客先を訪れて、顧客が求める流行と現状のデータを踏まえたアウトカム(成果)の最大化を行う。
さらにデータサイエンス部門の人材が同席し、具体的な分析を用いたビジネスデザインを実施。そしてソリューション開発部門がIT実装を行う。一連の流れを顧客とひざを詰めながら計画を進めていく。