情報処理推進機構(IPA)は12月25日、5万8861文字に及ぶ漢字の文字コードの国際規格化が完了したと発表した。国際標準化機構(ISO)が22日に発行したISO/IEC 10646の第5版に盛り込まれ、従来は外字作成などで対応せざるを得なかった漢字をコンピュータで扱えるようになる。
漢字の例(出典:IPA)
漢字の文字コードの国際規格化は、特に人名や地名などに使われる複雑な漢字の正確な表記をコンピュータで可能にすることを目的に、IPAや内閣官房IT総合戦略室、経済産業省らが2010年9月から推進してきた。実際には、コンピュータで必要な約6万の漢字を洗い出すことを目的とした2002年からの経済産業省の調査事業「汎用電子情報交換環境整備プログラム」がもとになっており、国際規格化には延べ15年を費やした。
従来の外字による対応では、自治体ごとに登録される外字コードに一貫性がなく、異なる自治体やシステム間で電子文書への使用が難しいなど課題があり、コスト増を招いていた。今回の国際規格化でこうした課題の解決や行政事務の効率化、コストの低減化が期待されるという。
IPAでは、戸籍業務などに必要な「変体仮名」の国際規格化も進めているといい、これも2018年3月末までに発行される見込みのISO/IEC 10646の第5版の追補版に盛り込まれる予定だとしている。また、新しい国際規格に合わせた文字フォント(IPAmj明朝フォント)やMJ文字情報一覧表などのバージョンアップも順次進める。