「サービス指向」に関する記事では、ビジネスユーザーが自ら技術的なソリューションを構築できるツールを提供し、その活動を支援することについて、われわれが支持してきたことに読者は気づくかもしれない。サービス指向アーキテクチャが始めて登場したとき、その主眼が置かれていたのは、IT部門しか扱えないモノリシックなアプリケーションを解体して一口サイズのサービスに分割し、それを構成要素として組み立てたり組み替えたりすることで、その時々で企業が必要とするアプリケーションに仕立てられるようにすることだった。
その後、この考え方は、ビジネスユーザーが必要に応じて呼び出したり、応用したりできるクラウドサービスやAPI、モバイルアプリへと引き継がれた。その背景を考えれば、それらの構成要素を直接扱うことにビジネスユーザーを関与させない理由はない。今やIT部門自体が限界に達しており、IT部門がユーザーからの特定のレポートや機能のリクエストに応えるための時間は減っている。
シチズンデベロッパーに向かう動きが盛り上がっている背景には、3つの相互に絡み合ったトレンドがある。
- 開発者自身に、ビジネスを理解し、よりビジネスに近づくよう求められることが増えている。顧客体験(CX)の設計やDevOps、アジャイルプログラミングなど、開発者がユーザーと関わることを求められる分野は多い。
- ビジネスプロフェッショナルが技術に詳しくなってきており、コンピューティングに慣れ親しみ、その力や可能性を理解するようになっている。
- APIやローコード、モバイルアプリの開発キットなど、コラボレーションやアジャイル開発を可能にする、構成要素を組み立てることで実装できるスタイルのプラットフォームやツールが数多く提供されている。
筆者は最近、Information Today, Inc.の調査部門であるUnisphere Researchと仕事をした際に、この問題について企業役員を対象とした調査に関わる機会があった。このレポートは、事業部門の企業役員などを含む調査対象324人の回答に基づくものだ。最近では、IT部門だけがエンタープライズアプリケーションの構築や導入に関わっているわけではないことがレポートで明らかになった(ただし、アプリケーションの運用やセキュリティの確保はIT部門が担当することが多い)。この調査は、Kintoneとの協力で実施された。