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経営層の株式売却はセキュリティ問題発覚の予兆にもなる--マカフィー

國谷武史 (編集部)

2018-01-18 06:00

 マカフィーは1月17日、2017年7月~9月期のセキュリティ脅威動向と最近発覚したセキュリティ事件について解説した。セキュリティ問題との関連性が疑われる企業幹部の動向にも注意すべきとの見解を示した。

 まず2017年7月~9月期のセキュリティ脅威動向は、新種マルウェアのサンプルが約5760万件、モバイルマルウェアが約261万件で、同社の観測としては四半期別で過去最多だった。特にモバイルマルウェアは前期比で60%増加し、Android端末の画面をロックするランサムウェア「AndroidLock」が猛威を振るった。


不正なPowerShellとJavaScriptを使う攻撃の検知推移(2015年第4四半期~2017年第3四半期、出典:マカフィー)

 また、今回から初めて「ファイルレスマルウェア」(挙動の多くがコードやスクリプトによって実行され、ファイル形式をほとんど伴わない不正なプログラムの通称)の検知動向も報告。PowerShellを悪用するものは前期比で約2倍の約3700件、JavaScriptは26%減の約473万件を検知した。

マカフィー
マカフィー セールスエンジニアリング本部長の櫻井秀光氏

 セールスエンジニアリング本部長の櫻井秀光氏は、ファイルレスマルウェア型の攻撃では、攻撃者が正規ツールで不正な行為をすることにより、セキュリティソフトなどの検知を逃れる狙いがあると解説。JavaScriptは、技術の習得が用意かつ不正なプログラムの難読化(不正なプログラムの解析を困難にする手法の通称)に利用しやすいことから、ファイルレスマルウェア型の攻撃の多くを占めているという。

 ランサムウェアの検知は前期比36%増の約150万件で、WannaCryなどの影響で攻撃が拡大している。メールに添付したOffice形式ファイルなどを悪用して不正なマクロを実行させることでマルウェアに感染させる攻撃は、前期比8%減の約8万4000件だったが、企業などを狙う標的型攻撃の常とう手段になっている。

 最近のセキュリティ事件についてはサイバー戦略室 シニアセキュリティアドバイザーのScott Jarkoff氏が、CPUの脆弱性問題や韓国の平昌冬季オリンピックを狙うサイバー攻撃などを取り上げ、解説した。

 CPUの脆弱性問題では、既に報じられている技術概要を振り返りつつ、経営幹部の動向も注視すべきと指摘した。この問題との関連性は不明だが、Intel 最高経営責任者(CEO)のBrian Krzanich氏が2017年11月に、自身が保有する同社株24万5000株の売却を表明。その後の問題発覚でIntelの株価は下落した。Krzanich氏には、事前に把握した脆弱性問題がIntelの企業価値に大きな影響を与えるとの懸念から株式を売却したのではないか、との疑念が突き付けられている。

マカフィー
マカフィー サイバー戦略室 シニアセキュリティアドバイザーのScott Jarkoff氏

 Jarkoff氏は、同様の疑念として米信用会社Equifaxでの情報流出事件にも言及。Bloombergによれば、Equifaxの経営幹部が事件発覚の直前に180万ドル相当の株式を売却していたとされる。

 いずれの疑念も、セキュリティ問題を抱えた企業の幹部が事態の発覚による金銭的な損失を恐れて事前に利益確保に走ったのではないかというもの。Jarkoff氏は、「もしこれらの行為の狙いが疑念の通りだとしたらインサイダー取引に抵触しかねない。未然に防ぐのは非常に難しく、証券市場の規制や監視の目を持って抑止せざるを得ないだろう」と解説する。

 企業幹部が自社株を売却する理由はさまざまだが、Jarkoff氏はサイバーセキュリティの問題がその理由に1つに含まれつつあると見る。株主や顧客、取引先といったステークスホルダーにとって、こうした行為が企業の状況を知り得る1つの手がかりになるという。

 平昌冬季オリンピックを狙うサイバー攻撃は、同社が1月11日に公開したブログでも詳しく取り上げているが、2017年12月22日~28日に行われたという。

 同社は韓国のオリンピック関連組織を主な標的とするなりすましメールや、ハングルが記載されたWordファイルが添付されるなどの点で標的型攻撃との見方を示す。Wordファイルで指示されたコンテンツ有効化の操作を行うと、不正なPowerShellスクリプトを使う攻撃が段階的に実行され、最終的にパスワードなどの情報を窃取される恐れがあった。

 Jarkoff氏は、この攻撃が高度な技術を持つサイバー攻撃組織によって実行された可能性があると解説。「攻撃が発覚したのは開幕(2月9日)の数カ月前だが、実際にはそれ以前からだろう。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでも便乗するサイバー攻撃が予想されるが、既に進行している可能性もあり、警戒し続けるべきだ」と述べた。


韓国のオリンピック関連組織に送信されたメールの不審な添付ファイル(出典:マカフィー)

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