EY Japanは1月31日、「EYグローバル・フォレンジック・データ・アナリティクス サーベイ2018」を発表した。それによると、グローバル企業の78%がデータ保護とデータプライバシーに関するコンプライアンスについて懸念し、規制強化の圧力はビジネスリーダーにとって最重要課題であることが判明した。
FDAは2年に1度行う調査で、グローバル企業が直面する法的リスク、コンプライアンスリスク、不正リスクなどと、それらを管理するためのフォレンジック・データ・アナリティクス(FDA)の活用状況を分析している。今回は3回目で、19カ国745人の経営層が調査に協力した。
調査結果では、5月25日にEUで「一般データ保護規則(GDPR)」が施行されるまで4カ月を切ったタイミングにも関わらず、EU法を順守する計画を立てているという回答は33%にとどまった。地域別にみると、欧州では60%がGDPRに関するコンプライアンス計画を策定しているなどポジティブな回答の割合が多い一方で、アフリカおよび中東(27%)、北・中・南米(13%)、アジア・パシフィック(12%)を含む他の地域では十分な準備を行っている企業は少なく、まだ対応すべき事柄が多く残っていることが分かる。
EYの不正調査や不正対策、コンプライアンス専門のサービスライン「Fraud Investigation & Dispute Services」は、「規制改革のスピードは依然として加速しており、GDPRなどのデータ保護法やデータプライバシー法の導入は、グローバル企業にとって大きなコンプライアンス上の課題となっている。一方でFDAを既に活用している企業は、より効果的なリスク管理が可能となり、あらゆるビジネスの透明性を高めるという大きなメリットを得ている」と解説する。
リスク管理を目的としたFDAの活用の増加
調査では、FDAへの平均年間支出が2016年比で51%増加し、多くの経営層が、FDAが組織のガバナンスプログラムに対して価値およびメリットになると強く感じている。また、法務やコンプライアンス、不正リスクを管理するために、これまで使用していたベーシックなFDAツールではなく、Robotic Process Automation(RPA)を活用した高度なFDA技術を採用していると回答した企業は14%に上った。そして、今後12カ月以内に39%がRPAの活用を、次いで38%が人工知能(AI)の活用を前向きに検討していると回答した。
データ保護およびデータプライバシー規制がFDAの構築または活用方法に大きな影響を及ぼすと回答した企業は42%に上った。また、13%が現在FDAを活用してGDPRに関するコンプライアンスに対応していると回答し、半数以上(52%)が、どのFDAツールがGDPRに関するコンプライアンスに対応するために有用なのかを、現在精査していると答えている。
FDAの潜在能力を最大限に引き出す人材およびスキルへの投資
調査では、高度なFDAテクノロジの活用拡大および投資はスキルを持つ人材へのさらなる投資とともに行われる必要があることも示している。自社の人材がFDA活用のための適切なスキルを有していると感じている企業はわずか13%で、適切なデータ分析およびデータサイエンスの専門知識を持っていると考えている企業は12%にとどまった。
「FDAを単なる技術として捉えるのではなく、その技術およびリスクを管理する際にどのように活用できるかを考える必要がある。先進的なFDAへの投資額拡大を奨励する一方、リスクプロファイルを上手く管理するためには、企業は適切な人材を採用し、専門知識やデータ分析など、核となるスキルに投資する必要がある」(EY)