デジタル化の動きとともに、さまざまな業界にIoTをはじめとしたIT導入の動きが見られる中で、サーバやネットワークの仮想化などITインフラの要であるデータセンター向けにソフトウェアを提供するのがVMwareだ。同社は今後、IT基盤向けのソフトウェアを提供しながら、各業界特有の機能を実装するアプリケーション領域にも、パートナー企業と連携しながら積極的に進出していく。
数カ月ごとに来日しているというDavie氏。今回はクラウドサービスプロバイダーやユーザー企業と話すのが目的という
VMwareの従来の典型的なユーザーがIT部門側だったとした場合、今後は「OT(Operational Technology)」と呼ばれる工場の制御システムなどを握る部門のユーザーも含むことになる。日本を含めた、豪州や中国、インドなどアジア太平洋を担当する最高技術責任者(CTO)で、バイスプレジデントのBruce Davie氏は、特に注力するのがIoTセキュリティの分野だと言う。
Davie氏は、VMwareが業種別のシステムの提供に乗り出していると説明する。コネクテッドカーの仕組みやアミューズメントパークの運営、スマートシティやホスピタル、天気予報など、IoTセキュリティにおいて、既にさまざまなプロジェクトをVMwareとして実施している。
技術的に見た時、VMwareのIoTセキュリティは下記の写真の通りだ。スマートフォンや飛行機、スマートウォッチなどあらゆるデバイスから、オンプレミス、クラウドネイティブ、SaaSを含めたさまざまなアプリケーションにアクセスする環境がある。
その際に、各端末側でデータを収集するエッジコンピューティング環境と社内に近いプライベートクラウド環境を合わせたシステムと、文字通りクラウド上にあるパブリッククラウド環境をセキュアに連携させるインフラを、「VMware Pulse IoT Center」をはじめとした仕組みで提供していく。
特に、仮想化されたクラウド環境でのアプリケーション運用を支えるセキュリティサービスとして「VMware AppDefense」を2017年8月に発表した。
広がるIoT市場において、インフラであるデータセンターの層やIoT運用環境、セキュリティの仕組みを含め、技術横断的に仕組みを提供できるのがVMwareの強みだとDavie氏。
VMwareは既にさまざまな業種でIoTセキュリティのソリューションを提供している
特に注目しているのが自動車業界だという。「自動車を構成するIoTとしての部品数に、全世界にある自動車台数を掛け合わせた際のスケールは、あまりにも大きい」(Davie氏)
データセンターの中心を構成するITベンダーという印象があるVMwareが、直接的な視点で自動車などの各産業分野を見つめている点は、今後のIT企業を展望する上でポイントになってくる。