仮想化技術のVMwareが2017年秋の自社イベント「VMworld 2017」で、セキュリティサービス「VMware AppDefence」を発表した。クラウドサービス「VMware Cloud Services」ブランドの1つであり、これまでの”悪い行為を探す”というアプローチから、”正しい動作を確実に”と、考え方を180度変えたセキュリティサービスだ。
「Project Goldilocks」としてAppDecenseのオリジナルプロジェクトを開始したVMwareのセキュリティ製品グループ担当シニアバイスプレジデント、Tom Corn氏に話を聞いた。
--AppDefenseについて簡単に説明してください。
AppDefenseは、アプリケーションを安全にするための新しいプラットフォームだ。プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方で仮想化された環境で動く。
“悪者を追いかける"ではなく”アプリケーション本来の正しい動きを確実にする”ことにフォーカスした独自のアプローチをとる。ハイパーバイザーの独自技術を活用するという点も特徴だ。各仮想マシンの意図した目的と振る舞いをキャプチャし、それに対して実際の振る舞いをモニタリングし、応対を自動化する。
AppDefenseは、VMware NSXとマイクロセグメンテーションがネットワークに対して行うようなコンピュートを行う。アプリケーション向けに、最も低い特権環境を構築する。
--AppDefenseは「Project Goldilocks」と呼ばれていました。プロジェクトとの関わり、これまでの取り組みについて教えてください。
Project Goldilocksは私が開始したプロジェクトで、チームを立ち上げてソリューションを構築した。チームにはVMwareのベテランだけでなく、RSAやその他のセキュリティ企業からも来てもらった。
--提供にあたっての戦略は?
市場戦略は多方面から考えられる。中核となるセールスとSEがAppDefense販売に関係する全てのグループを支える”タイガーチーム”を作り、販売ネットワークとセキュリティ営業部隊を動員する。チャネルには、セキュリティに強い再販事業者、システムインテグレーターを加えており、自社技術とAppDefenseを統合したソリューションを開発して、VMware顧客に提供するセキュリティベンダーとも協業する。SecureWorksなどのマネージドセキュリティサービスプロバイダー(MSSP)がマネージドサービスとしてAppDefenseを提供することも考えられる。
--セキュリティに対する本来の動作を確実にするというアプローチについて教えてください。
必要最小限の権限を与えるという考え方は、情報セキュリティの土台となるものだ。1970年代にマサチューセッツ工科大(MIT)のJerome Saltzer教授が考案した。
Saltzer教授は「全てのプログラムとシステムのユーザーは、コンピューティングの作業ができる最低限の特権をもって運用すべき」としており、全てのプロセス、ユーザー、プログラムは正しい目的のために必要な情報とリソースにのみアクセスできるべきだというのが基本のアプローチだ。
この考え方はアクセス制御に適用されており、信頼できるコンピューティングなどの目的に役立っている。だが、分散型アプリケーションでの利用は難しかった。例えば、プロセスのホワイトリスト化は実際には分散アプリケーションベースで見ているわけではない。
われわれのアプローチは新しいものだ。独自のアプローチで、アプリケーションの文脈でマシンの意図や行動をキャプチャする。また、ソフトウェア定義データセンターをオーケストレーションして反応するというアプローチも考案した。これらのコンポーネントをハイパーバイザから監視する。要するに、このコンセプトを実際の運用環境でモダンなアプリケーション向けに利用できるようにした初のベンダーと言える。
自宅を守るためには2つのアプローチがある。全部ドアを開けて、遠隔からモニタリングして、アナリティクスにより悪意ある行為を判断するという方法がある。別の方法として、ドアを閉じて、アクセスを必要とする一部の人に鍵を与えて環境をモニタリングするというやり方もある。