Azure/AWSと連携してデータ管理を簡略化--ネットアップのクラウド戦略

藤本和彦 (編集部) 2018年02月20日 07時00分

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 マルチクラウドやハイブリッドクラウドを導入・運用している企業が増えている。ストレージベンダーである米NetApp クラウドビジネス担当チーフアーキテクトのJoe CaraDonna氏に同社のクラウド戦略を聞いた。

 CaraDonna氏によると、6000社のIT組織を対象に実施した米RightScaleの調査では、85%がマルチクラウド戦略を実施または計画中だった。また、調査対象企業の58%がハイブリッドクラウドへの移行計画を実施中または近日実施予定とした。

 そうした状況の中、ハイブリッドクラウドを前提としたIT戦略の立案やアーキテクチャの検討、システムの開発・構築がますます必要になるとCaraDonna氏は説く。

 また、クラウド戦略をIT部門以外が推進するケースも増加している。クラウドアーキテクト、基幹業務部門、アプリケーション開発者、データサイエンティストなどが挙げられる。ストレージベンダーのNetAppとしては、非IT部門のユーザーに対してもストレージを使いやすく、管理しやすい形で提供していくことが重要になる。

 近年、NetAppはクラウド向けのデータサービスを強化してきた。プライベートクラウド型ストレージサービスの「Private Storage」、パブリッククラウドで稼働してデータを管理する「ONTAP Cloud」、クラウド統合型バックアップストレージ「AltaVault」などを展開する。

 同社のストレージ戦略で中核となるのがストレージOS「ONTAP」である。“Software Defined Storage”を実現し、オンプレミスやクラウドなど、どのような環境でも動作することを目指している。ストレージを抽象化することでデータ管理やデータ移行を容易にする。同社では、こうしたハイブリッド環境でデータを管理するビジョンを“データファブリック”と呼んでいる。

 「ストレージをどの環境に配置するかは、アプリケーションの要件やビジネスニーズによって変わってくる。状況に応じて柔軟に対応できる必要がある。特に企業向けでは、性能と信頼性、データ管理、セキュリティが求められる。ONTAPが稼働するクラウドサービスを拡充していくことで、クラウドやオンプレミスを問わず企業の要件を担保できる」(CaraDonna氏)

 同氏は続いて、クラウドビジネスに関する最近の取り組みとして「Azure Enterprise NFS」を挙げた。これは、パブリッククラウド「Microsoft Azure」にONTAPの技術を提供し、米Microsoftのストレージサービスとして提供するものだ。Azureの管理画面からONTAPの機能を直接利用できる仕組みとなっている。2018年前半に公開プレビューが開始される予定だ。

 同様の取り組みとして、Amazon Web Services(AWS)向けの「NFS Hybrid Service for AWS」も提供する予定だ。ただ、こちらはサードパーティー製ツールとして提供される。AWS上からONTAPの管理画面を呼び出し、ストレージの設定や管理を行う。計算リソースや課金システムはAWSが用意する。NetAppがサービスを販売し、サポートを提供する。こちらも2018年前半に公開プレビューを開始する計画だ。

 AWSは、NFSのマネージドサービスとして「Amazon EFS」を提供している。NetAppにとってAWSは「パートナーだが競合でもある」(CaraDonna氏)関係だ。両社サービスの違いは、例えば、サポートするプロトコルのバージョンにある。ONTAPのサービスはNFS v3/v4に対応するのに対し、EFSはNFS v4のみとなっている。

 CaraDonna氏は、これらのデータサービスを「Cloud Volume」と呼ぶ。オンプレミス上で稼働するONTAP、仮想インスタンス上で動作するONTAP Cloudと同じ技術基盤でありながら、ストレージの機能に精通していなくても容易にデータ管理が可能であるという。

 「これまで、ONTAPの利用はストレージ管理者などごく一部の人に限られていた。Cloud Volumeによって、その利用障壁は大きく下がるはずだ。アプリケーション開発やデータ収集・分析などの領域で幅広く使ってもらいたい」(CaraDonna氏)


NetApp クラウドビジネス担当チーフアーキテクトのJoe CaraDonna氏

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