ネットアップがハイパーコンバージド参入--後発で弱点克服に強み

日川佳三

2017-06-30 07:00

 ネットアップは6月29日、ラックマウント型のサーバ筐体を増設することで仮想サーバ環境を増強できるというインフラ製品「NetApp HCI」を発表した。他社が先行しているハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)製品の弱点を解決した後発製品だとし、8月下旬から見積りを受け付け、10月下旬に受注を開始する。

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NetApp HCIは、いわゆるHCIと同様にスケールアウト型で仮想サーバ/ストレージを拡張できるインフラ製品(出典:ネットアップ)

 NetApp HCIは、サーバ仮想化ソフトを搭載した物理サーバマシンと、仮想サーバが利用する共有ブロックストレージを提供するインフラ製品。ブロックストレージ部には、スケールアウト構成やQoSに特徴がある既存のストレージ製品「NetApp SolidFire」のソフトウェアを採用した。

 サーバ仮想化ソフトを動作させた物理サーバ(コンピュートノード)と、ストレージソフトを動作させた物理サーバ(ストレージノード)が独立し、ストレージノードは既存のストレージ製品「SolidFire」と同等の外付けストレージとなる。現在のSolidFireと同様に、仮想サーバから外付けの共有ストレージにアクセスする形だ。

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ネットアップ 常務執行役員 最高技術責任者の近藤正孝氏

 同社によれば、競合のHCI製品とはアーキテクチャが異なるという。競合製品は、サーバ仮想化ソフトを動作させた物理サーバマシンでクラスタを組み、これらの物理サーバマシンが内蔵しているストレージを束ねて共有ストレージとして利用する。中核となる分散ストレージソフトは、仮想サーバ上で動作していたり、サーバ仮想化ソフトのカーネルに組み込まれていたりする。

 常務執行役員CTOを務める近藤正孝氏は、「現状のHCIは妥協が多い。後発製品として、現状のHCIの問題点を解決した」と新製品の特徴をアピールする。NetApp HCIは、仮想サーバを動作させるサーバ仮想化の部分とストレージが別個の物理サーバとして独立しているため、これらの物理サーバ単位で容易に増設できるとした)。

 一方で現状のHCIは、VDI(仮想デスクトップ基盤)のように個々の仮想サーバの負荷が均一的な用途では問題ないが、データベースサーバなど高負荷な仮想サーバを導入すると、他のアプリケーションに影響を与えてしまう。性能や容量を拡張する際も、サーバ仮想化ソフトとストレージがセットになったアプライアンス単位となるため、CPU処理能力だけを増やしたり、ストレージだけを増やしたりすることが難しい。


サーバ仮想化の部分(コンピュートノード)とストレージノードが別個の物理サーバとして独立しているため、これらの物理サーバ単位で容易に増設できる(出典:ネットアップ)

 NetApp HCIの第1弾は、サーバ仮想化ソフトとしてVMware vSphere(ESXi)を採用。ハードウェアは高さ2Uのラックマウント型の筐体で、これに4台の物理サーバを収容する。最小構成は、物理サーバ3台(コンピュートノード1台とストレージノード2台)を収容した筐体を2台つないだ構成になる。同一筐体内にもう1台の任意のノードを増設できるほか、筐体を増設することで任意のノードを好きな組み合わせで増やせる。

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ハードウェアは高さ2Uのラックマウント型の筐体で、これに4台の物理サーバを収容する。物理サーバ(コンピュートノードまたはストレージノード)の組み合わせは自由(出典:ネットアップ)

 NetApp HCIの中核技術は、既存ストレージのSolidFireソフトウェアだ。高機能型のSDS(Software Defined Storage)で、スケールアウト、ボリューム単位のQoS、クラウド運用ソフトとの親和性(REST API)、インライン重複排除、などの特徴を持つ。

 スケールアウトについては、ストレージノードを増設することで、容量と性能をリニアに拡張できる。こうして共有ストレージプールを形成する。ここから、仮想サーバなどに対してストレージボリュームを切り出す。ボリューム単位で、容量と最低保証性能(I/O毎秒)を指定可能だ。

 VMwareの標準APIで、仮想サーバ単位でストレージボリュームを使い分けられるようにする「VMware vSphere Virtual Volumes」(VVol)に対応。VVolを介してVMごとにボリュームを作成し、それぞれのVMが必要とするQoSを設定できる。

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