--仮想通貨の相場が乱高下していますか、それについてはどのように見ていますか。
これまで6年ほど市場を見てきた。ビットコインが1ドルから10ドルになり、6ドルに落ちてから20ドルになった際は、みな一喜一憂していた。それが先日2万ドルになった。下がれば新たな投資家が参入してくるという特徴があり、5年前の日本や韓国もそうだった。今後、インドや南米の新市場により、新たな投資家が生まれるかもしれない。
--ブロックチェーン技術について、仮想通貨以外に、どんな応用が可能と考えますか?
1つは不動産の登記だ。昔の知り合いが米国の石油会社の人だった。米国のような先進国でも地中にある石油のようなものの権利には曖昧さが生じる。米国中部の小さな村で、土地の権利書はその保有者もはっきりせず、記録自体が不完全なことも多い。そういった用途に、書き換えができないブロックチェーンをインフラとして採用すれば、資産を効果的な管理することができる。
もう1つは投票のプラットフォームへの採用だ。現在、米大統領選挙にロシアが介入したかが問題になっている。さまざまな投票行為に、ブロックチェーンを採用することで、公平性と信頼性を担保できる。
また、デジタル化により正当な仲介者を呼び込むことも可能だ。われわれはアフリカでのビジネス展開も検討しており、5月に私はエチオピアに行く予定だ。そこでは、ホテル、レストラン、さらに誰を信頼するべきかということまで、分からない領域がたくさん存在する。ブロックチェーンによってデジタル化された情報があれば、その助けになるかもしれない。発展途上国などにおける金融「マイクロレンディング」は、金利が30~80%にもなると言われている。ブロックチェーンを使えば、もっと安価に、安全に送金ができる。そうした面でも、有用性があるだろう。
--現在、30歳ということですが、今後の夢はありますか?
Forbesで5億ドルの価値があるとして紹介された。大統領や実業家のElon Musk氏にも会った。ブロックチェーン技術は世界をつなぐものだ。世界で一番裕福な人から、貧しい人までが使えるプラットフォームになり得る。
自分のようなごく普通の人間が、世界経済の価値を左右できると考えると、謙虚にならざるを得ない。ブロックチェーンの技術に敬意を払っている。社会的な物理法則のようなものを見つけ、実装したい。少しこわいが、楽しい仕事でもある。現在は、このまま歩み続けたいと思う。