Qualcommの前最高経営責任者(CEO)であるPaul Jacobs氏が、米国時間3月23日の年次株主総会をもって同社の取締役を辞任する。Qualcommによると、これはJacobs氏が同社の自社買収を検討しているためだという。Qualcommは、Jacobs氏の父親であるIrwin Jacobs氏が共同で創設した企業だ。
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Qualcommは「Jacobs氏に(買収の)提案が可能か、あるいは提案の意志があるかは保証できないが、もし提案すれば、取締役会は当然ながら投資家に対する受託者責任に則って判断する」と述べている。
クアルコムはプレスリリース以外のコメントは控えた。Jacobs氏からのコメントは得られなかった。
株式を非公開化すれば、Qualcommはいくつかの利点が得られる可能性がある。同社は携帯端末用チップやプロセッサのメーカーとして世界最大の規模を誇るが、ここ数カ月は混乱に陥っている。一般株主に対して責任を負う義務がなくなれば、Qualcommは法的問題を解決して、次世代のモバイル技術に注力する時間が得られるかもしれない。
The Wall Street Journalは、Jacobs氏がQualcommの非公開化に成功する可能性は低いと報じている。Jacobs氏が保有するQualcomm株は1%に満たないという。Qualcommに買収提案を行うには、十分な資金力のある支援者が必要になるだろう。
競合するBroadcomは2017年11月、Qualcommに対して1300億ドル(約14兆円)規模での買収提案を行ったが、Qualcommは、同社を過小評価しているとしてこの提案を拒否していた。Donald Trump米大統領が先週、買収を禁止する大統領令を出したことを受け、BroadcomはQualcommの買収を断念した。
さらに、Qualcommは世界中で、Appleなどの企業とライセンス関連の法廷闘争に直面している。
Jacobs氏は1990年からQualcommに勤務している。2005年7月から2014年3月までCEOを務め、2005年6月以降は取締役を務めていた。QualcommにおけるJacobs氏の直近の役職は、取締役会長(2009年3月〜2018年3月)と経営執行役会長(2014年3月〜2018年3月)だ。QualcommはJacobs氏に代わって社外取締役のJeffrey Henderson氏を取締役会長にしたほか、Broadcomによる買収闘争を受けて経営執行役会長職を廃止した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。