WatsonでAppleと提携--AIを容易に
IBM自身の転換は、新しい時代に向けて構築した製品やサービスポートフォリオ、組織などとなる。
クラウドでは「One Cloudアーキテクチャ」として、パブリック、プライベード、それにハイブリッドクラウドとあらゆるクラウドの採用を容易に、簡素化していくとした。差別化は、セキュリティ機能、AI対応。さらには、そして量子コンピュータ、ブロックチェーンなどへの拡張を挙げた。
会期中IBMは、セキュリティ機能ブランド「IBM Cloud Hyper Protect」の下で、「IBM Cloud Hyper Protect Crypto Services」「IBM Cloud Hyper Protect DBaaS」「IBM Cloud Hyper Protect Containers」などのセキュリティ技術を発表した他、Hyper Protectクラウドサービスを利用してiOS開発者がセキュリティ機能を利用できるサービスも発表した。
クラウドではまた、「POWER9 on IBM Cloud」として最新のPOWER 9プロセッサを用いた「AC922」を紹介した。NvidiaのGPUを搭載し、AIを4倍高速に処理できるという。また、SAP HANAデータベースとして最大規模という「SAP HANA on Power Systems on IBM Cloud」、「PowerAI on IBM Cloud」も発表している。
Rometty氏はまた、直前に発表した「IBM Cloud Private for Data」も紹介、「プライベートクラウドでパブリッククラウドの長所を得られる」とした。
Watson関連でも、「Watson Services for Core ML」「Watson Studio」「Watson Assistant」の3つの発表を行った。
Watson Services for Core MLはAppleとの提携に基づくもので、「Appleの機械学習技術Core MLでIBMのWatsonが利用できる」と説明する。AIを容易にするための重要なステップと位置付けた。なお、Rometty氏によると、Watsonを採用する企業はこの1年で倍増しており、「1万6000社とエンゲージしている」とのことだ。
Watson Studioは機械学習ワークフローとトレーニングモデルを構築できるもので、Watson Assistantは自動車業界、ホスピタリティなど業界向けに事前トレーニングされたもので、様々なものに組み込むことができる。
新製品に合わせ、IBMは8000人のサイバーセキュリティ人材、1500人のブロックチェーン担当者など社員のスキルや専門知識があること、そしてCisco Systems、Salesforce.com、VMwareなどとの戦略的提携も進めているとRometty氏。
なお、同社は1月、22四半期続けて減少していた売り上げが、1%の増加に転じたことを報告している。
最後にRometty氏は、既存企業が大きな変化を遂げて崩壊する側となることができるとの確信を、「IBMの最大の掛けはあなた方、顧客だ」と表現した。