IBM Think

ムーア、メトカーフ、そして“ワトソンの法則”?--データとAIが企業や社会を変えるとロメッティ氏 - (page 2)

末岡洋子

2018-03-23 07:00

WatsonでAppleと提携--AIを容易に

 IBM自身の転換は、新しい時代に向けて構築した製品やサービスポートフォリオ、組織などとなる。

 クラウドでは「One Cloudアーキテクチャ」として、パブリック、プライベード、それにハイブリッドクラウドとあらゆるクラウドの採用を容易に、簡素化していくとした。差別化は、セキュリティ機能、AI対応。さらには、そして量子コンピュータ、ブロックチェーンなどへの拡張を挙げた。

 会期中IBMは、セキュリティ機能ブランド「IBM Cloud Hyper Protect」の下で、「IBM Cloud Hyper Protect Crypto Services」「IBM Cloud Hyper Protect DBaaS」「IBM Cloud Hyper Protect Containers」などのセキュリティ技術を発表した他、Hyper Protectクラウドサービスを利用してiOS開発者がセキュリティ機能を利用できるサービスも発表した。

 クラウドではまた、「POWER9 on IBM Cloud」として最新のPOWER 9プロセッサを用いた「AC922」を紹介した。NvidiaのGPUを搭載し、AIを4倍高速に処理できるという。また、SAP HANAデータベースとして最大規模という「SAP HANA on Power Systems on IBM Cloud」、「PowerAI on IBM Cloud」も発表している。

 Rometty氏はまた、直前に発表した「IBM Cloud Private for Data」も紹介、「プライベートクラウドでパブリッククラウドの長所を得られる」とした。

 Watson関連でも、「Watson Services for Core ML」「Watson Studio」「Watson Assistant」の3つの発表を行った。

 Watson Services for Core MLはAppleとの提携に基づくもので、「Appleの機械学習技術Core MLでIBMのWatsonが利用できる」と説明する。AIを容易にするための重要なステップと位置付けた。なお、Rometty氏によると、Watsonを採用する企業はこの1年で倍増しており、「1万6000社とエンゲージしている」とのことだ。

 Watson Studioは機械学習ワークフローとトレーニングモデルを構築できるもので、Watson Assistantは自動車業界、ホスピタリティなど業界向けに事前トレーニングされたもので、様々なものに組み込むことができる。

 新製品に合わせ、IBMは8000人のサイバーセキュリティ人材、1500人のブロックチェーン担当者など社員のスキルや専門知識があること、そしてCisco Systems、Salesforce.com、VMwareなどとの戦略的提携も進めているとRometty氏。

 なお、同社は1月、22四半期続けて減少していた売り上げが、1%の増加に転じたことを報告している。

 最後にRometty氏は、既存企業が大きな変化を遂げて崩壊する側となることができるとの確信を、「IBMの最大の掛けはあなた方、顧客だ」と表現した。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  4. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

  5. ビジネスアプリケーション

    AI活用の上手い下手がビジネスを左右する!データ&AIが生み出す新しい顧客体験へ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]