Cambridge Analyticaが有権者数千万人の個人情報を入手し、2016年の米大統領選挙の結果に影響を与えようとしたとされる問題で、Facebookは厳しい立場に追い込まれている。
Cambridge Analyticaが使用したデータは、別の企業であるGlobal Science Research(GSR)によってエンリッチ化されたもので、学術目的でデータを収集することに同意して性格テストを受けた、多くのユーザー情報が利用されたと報じられている。GSRは同時に、テストを受けたユーザーのFacebookの友達に関する情報を収集し、数千万人のユーザープロフィールのデータベースを構築していたとされる。Facebookのポリシーでは、友達に関する情報はユーザー体験を向上させる目的にしか利用できないことになっており、このデータを販売したり、広告に使用したりすることはできないはずだった。残念ながら、Facebookはこのポリシーが守られていると認めたことはなかったし、実際にも守られていなかった。
こういった不正行為は、ビッグデータの管理やガバナンスの本質を揺るがすものだ。ビッグデータを取り扱っている企業(ほとんどすべての企業が当てはまる)は、今回の事件を警鐘として受け止めるべきだろう。ビッグデータのセキュリティや安全な保管の重要性は、従来のデータシステムとなんら変わることがない。
ビッグデータは日々、この種のセキュリティ侵害やデータ漏えいの脅威にさらされているが、残念ながら、多くの企業で十分な備えができていない可能性がある。
では、最高データ責任者(CDO)やビッグデータプロジェクトの責任者は、この問題に立ち向かうために何をすべきなのだろうか。
1.ビジネスリスクを把握する
Facebookが直面しているような状況が起こってしまえば、ブランドにも売上にも悪影響が及ぶ可能性がある。今回の問題は、すべてがビッグデータの取り扱いに関するガバナンスやセキュリティ対策が不十分だったことに起因している。セキュリティ侵害や情報漏えいを防止するために必要な技術を導入するのはIT部門の役割だが、最高情報責任者(CIO)や最高セキュリティ責任者(CSO)、CDOなどの幹部は、最高経営責任者(CEO)や取締役会に対して、重要な顧客情報が含まれる文書が漏えいするセキュリティ侵害が起こった場合に、どのような悪影響が及ぶかを分かりやすく説明できなければならない。ビジネスリスクの観点から、この問題について的確に議論できるだろうか?「顧客情報が漏えいすれば、システムに問題が発生し、復旧には2日間かかる」といった議論ではなく、「顧客情報の漏えいは、わが社に対する顧客の信頼を失わせ、他社への乗り換えが発生する」といった説明が必要になる。