日本道路、現場PC2500台のバックアップ環境--端末障害やウイルスの影響最小化

藤本和彦 (編集部)

2018-04-03 12:50

 道路建設および舗装工事を専門とする日本道路は、全国の建設現場で稼働する2500台の業務用PCを対象にしたデータバックアップシステムを構築。2017年7月に本番稼働を開始した。IT要員が不在の拠点や現場でも社員に負荷をかけず、本社側で自動的に業務データをバックアップして一元管理可能な体制を確保した。

 日本道路は、道路建設・道路舗装のほか、スポーツ施設向けの人工芝、合成樹脂系舗装や公園、遊歩道向けの景観舗装など幅広い領域で事業を展開している。ほこりやちりの多い現場では、PCの内蔵HDDが障害を起こすことがあり、多額の費用を払ってデータサルベージ会社に復旧を依頼していたという。また最近では、深刻化するサイバー攻撃への対応も大きな課題となり、現場PCのデータを本社側でバックアップできる環境の整備に着手した。

 新バックアップシステムは、ネットワールドが提供するDell EMC製データ保護ソリューション「Dell EMC Avamar」と「Dell EMC Data Domain」を採用。システムの導入・構築は、日本道路のIT子会社であるエヌディーリース・システムと、ITパートナーのリコージャパンが担当した。

 Avamarには重複排除機能が装備されており、クライアント側で重複排除を行った上でユニークなデータだけを転送するため、十分な回線帯域が確保できない工事現場でも確実なバックアップが可能とのこと。また、現場のPCには、バージョンが異なる同一の書類などが保存されていることも多かったため、重複排除は容量削減のために威力を発揮するという。Data Domainとの連携により、バックアップデータの効率的な保管や運用管理の一元化も実現する。

 社内への展開は、AvamarのエージェントソフトをPCに導入するためのインストーラを社内ポータルサイトの掲示板にアップし、これをユーザー側で実行してもらう形で進めた。インストーラの指示に沿って数クリック程度の操作だけで、各現場のユーザーに大きな負担をかけることなく短時間で作業が完了する。

 各クライアントのバックアップは、PCの稼働率が最も低い昼休みに実行している。重複除外機能により2回目以降は差分データだけが転送されるため、ほとんどの拠点でおおむね5分以内でバックアップが終了するとしている。

 圧縮・重複排除率は最大99%以上のデータを削減できたケースもあり、期待以上の成果であると高く評価されている。リストアに関しては、過去30日分のデータを保持しておき、ユーザーからの要望に応じて復旧を実施。実際にデータの復旧要望があったとしても、作業内容は非常に容易、かつ復旧データの転送も重複排除機能により高速に完了するため、導入前に比べて非常に楽な運用が実現したと説明する。

 日本道路は、セキュリティポリシー上の理由からオンプレミスでのシステム構築を選択した。クラウドサービスを利用して同様の環境を構築した場合、今回のように30世代ものバックアップデータを管理するのはほぼ不可能であるという。また、5年間運用した場合のPC1台当たりのコストは、主要なクラウドサービスを使う場合よりも安くなるとのこと。

 今後は、バックアップ対象フォルダの拡大や業務用アプリケーションサーバのバックアップなども検討していく考えた。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]