海外コメンタリー

GPUデータベースの可能性--SQreamの取り組みにみる - (page 2)

George Anadiotis (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-04-10 06:30

 ここが「SQream DB」といったGPUデータベースの存在理由となっている。SQream DBを開発したSQream Technologiesは、起業家であり投資家でもあるAmi Gal氏と、プログラマーでありアルゴリズム考案者でもあるKostya Varakin氏によって2010年に立ち上げられた企業だ。両氏は、データベースにおけるGPUの活用というVarakin氏のアイデアを実現するために力を合わせ、作業を開始した。

 創業からの数年で、特許の取得や、何回かの投資ラウンドを経た同社は現在、GAL氏と研究開発担当バイスプレジデントであるRazi Shoshani氏によって運営されている。Varakin氏は新たな挑戦に向けてSQreamを去ったものの、同社は現在までに1500万ドルを調達し、50人を超える従業員を抱えるまでに成長している。また、従業員数は2018年中に75人程度にまで増えると見込まれている。

GPUデータベースの選択肢

 SQreamはこれまでに複数の提携関係を締結してきているが、26日にはGTCで新たな提携を発表した。この提携について説明する前にまず、GPUデータベース分野を概観しておきたい。

 GPUデータベースには、SQream DBのほかに「Blazegraph」や「BlazingDB」「Brytlyt」「Kinetica」「MapD」「PG-Strom」といったものがある。SQreamは、自らをアナリティクスデータベース市場のプレーヤーとして位置付けており、大規模ワークロードに焦点を当てることで他社との差別化を図っている。SQreamの最高マーケティング責任者(CMO)であるDavid Leichner氏は以下のように語った。

 GPUデータベースを開発、販売しているベンダーは複数ある。最もよく耳にするのはKinetica DBとMapD Technologiesだろう。SQreamはこれら2社とともにGPUデータベース企業としてひとくくりにされて語られる場合がしばしばあるものの、ソリューションには大きな違いが1つ、そして小さな違いがいくつか存在している。

 まず挙げられるのは、KineticaとMapDがインメモリストレージを採用している点だ。これにより例えば5テラバイトや10テラバイトまでのデータを極めて高速に分析できるようになる一方、アーキテクチャ面やコストの面でスケーラビリティに制約が加えられる。こういったデータベースのベンダーが20テラバイト以上のデータストアについて語ることはほとんどないはずだ。一方、SQream DBは大規模データストアを念頭に置いて構築されている。

 SQream DBは、20倍のデータ量、すなわちテラバイト規模からペタバイト規模に至るまでのデータの分析を、10%のコストと管理で最大100倍高速に実行する機能を企業にもたらせる、GPU能力を活用する唯一のSQLアナリティクスデータベースだ。典型的な応用事例として、既存の超並列処理(MPP)や分散型データレイクをリフト&シフト形式でSQream DBに移行し、SQream DB上で重量級のデータアナリティクスを実行するというものが考えられる。

GPU能力を活用したデータベースという新たな時代の幕が開けた
GPUの興隆により、GPU能力を活用したデータベースという新たな時代の幕が開けた。
提供:NVIDIA

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Google Chrome Enterprise が実現するゼロトラスト セキュリティの最新実情

  2. ビジネスアプリケーション

    ITSMに取り組むすべての人へ、概要からツールによる実践まで解説、「ITSMクイックスタートガイド」

  3. ビジネスアプリケーション

    業務マニュアル作成の課題を一気に解決へ─AIが実現する確認と修正だけで完了する新たなアプローチ

  4. ビジネスアプリケーション

    ITSMの手法を組織全体に拡張、エンタープライズサービス管理(ESM)がもたらすメリット

  5. セキュリティ

    身元確認は撮影方式からICチップ読取方式へ、公的個人認証(JPKI)が必要な理由とは

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]