日立製作所がサーバやストレージの生産を外部に委託すると発表した。自ら「コンピュータメーカー」の旗を降ろす格好だが、その背景には何があるのか。
日立がサーバ・ストレージの生産を外部に委託
日立製作所が4月3日、サーバやストレージを生産する100%子会社である日立情報通信マニュファクチャリングの株式97%を、電子機器の受託製造サービス(EMS)大手のユー・エム・シー・エレクトロニクス(UMCエレクトロニクス)に売却すると発表した。売却額は明らかにしていないが、数十億円とみられる。自社生産からOEMに切り替えることで製造コストを引き下げるのが狙いだ。
UMCエレクトロニクスは日立情報通信マニュファクチャリングの株式を、2018年7月に85.1%、2021年4月に11.9%取得する予定。これに伴い、同社の従業員約660人や、日立製作所が所有する神奈川県秦野市と福島県郡山市にある事業所の生産設備や建物などの資産を移管する。OEMにより、UMCエレクトロニクスは引き続き日立ブランドで製品を生産する。
日立としては、サーバやストレージの開発は継続し、現在注力しているIoT事業との連携を強化していく構えだ。
両社が連名で出した発表文には、「今回の協業により、日立が長年培ってきた製造技術、ノウハウおよび製造拠点は継続して活用しながら、UMCエレクトロニクスのボリュームオペレーションで培ったモノづくりを融合することで、高品質かつコスト競争力の高い日立ブランド製品、従来同様に国内外の幅広いお客様に提供するとともに、社会イノベーション事業へのさらなる貢献をめざしたい」と記されている。