富士通は4月11日、大学医学部などの医療看護系の教育機関向けに「FUJITSU ヘルスケアソリューション Heart Explorer」を販売開始すると発表した。2020年度末までに140ライセンスの販売を目指す。
Heart Explorerは、心臓の挙動を再現するシミュレータから得られた心臓データを3Dモデルで観察、分析できるソフトウェア。スーパーコンピュータ「京」などを用いて研究開発してきた心臓シミュレータの出力データを使う。これまで表現が困難とされていた心筋の動き、血流、興奮伝播、心電図といった心臓の挙動を観察、分析できる。興奮伝播とはペースメーカー細胞(心臓の拍動の頻度を調節する細胞)から電気刺激が心臓全体に伝わる現象のこと。
また、zSpaceが販売する仮想現実(VR)用ディスプレイ「zSpace 200」(別売)などを用いて、目視することが困難な心臓の立体構造や内部構造、心拍動などを360度で立体的に観察し、理解が進むようにデザインされている。さらに4Kプロジェクタにつなぐことにより、大学の大教室での講義にも活用することが可能。
VR技術を用いた立体視のイメージ(出典:富士通、以下同)
Heart Explorerを使うことで、学習者は視点や断面を自由に設定し、模型では困難な立体構造や内部構造、拍動、血流を3Dモデルで学ぶことができる。また可視化機能と解析機能を使うことにより、心筋から生じる力や、血流挙動、興奮伝播もグラフ表示を行える。
模型などを用いた教育では、心臓の示す心電図波形と興奮伝播の過程との関係を理解することが困難。Heart Explorerを利用することによって、シミュレータで再現した体の表面に電極を設置し、電圧を変化させながら心電図を表示することができる。
心電図と興奮伝播の関係を学習
販売価格は税別385万円。アカデミック向け価格は同250万円。