ヴイエムウェアが発表したvSphereとvSANの最新版の“中身”

渡邉利和 2018年04月19日 09時56分

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 ヴイエムウェアは4月18日、最新版のソフトウェア製品となる「VMware vSphere 6.7」および「VMware vSAN 6.7」を国内でも発表した。HCI(Hyper-Converged Infrastructure)が注目を集め、vSphereによるサーバ仮想化とvSANによるSDS(Software-Defined Storage)の組み合わせがHCIの標準的なコンポーネントとして認知されつつあることを踏まえ、今回のアップデートではvSphere/vSANそれぞれの機能強化はもちろん、両社の統合をより高度なレベルに引き上げている。


VMware ストレージ製品担当副社長のLee Caswell氏

 vSANのアップデートについて説明したVMware ストレージ製品担当副社長のLee Caswell氏は、vSANがHCIを実現するためのコンポーネントとして市場で高く評価されていることを紹介した上で、「グローバル50万社のvSphereユーザーのうち、vSANを利用しているのは1万社だ」と明かした。今回のアップデートならびにvSphereとの統合強化によって、「ユーザー企業が『サーバ仮想化』から『HCI』へと移行するための大きな機会となる」と語り、大きな成長余地があるとした。

 具体的な機能強化ポイントとしては、主には以下の点が挙げられる。

  • VMware vSphere HTML5クライアント対応--vSphereとの統合運用管理の実現
  • 統合的な健全性チェック--従来は「VMware vRealize Operations」で提供されていた6つのダッシュボードによるキャパシティ、パフォーマンス、KPI、アラートなどのモニタリングがvSAN側の機能として組み込まれ、vCenterの管理画面で確認できるようになった
  • NonSQL DBなどの広範なワークロードへの対応強化--ホストピニング(Host Pinning)によって、データにアクセスする仮想サーバが稼働する物理サーバ上のストレージに必要なデータを集めて固定することでパフォーマンスを高めることが可能になるなど、さまざまな強化対応が行われた

ヴイエムウェア チーフストラテジスト(SDDC/Cloud)の高橋洋介氏

 次いで、ヴィエムウェア チーフストラテジスト(SDDC/Cloud)の高橋洋介氏が、vSphere 6.7の主な機能強化ポイントを紹介した。今回のアップデートで重視された3つの軸として、「さまざまなアプリケーション要件」への対応強化、「データセンターからクラウド、エッジに渡る広範な実行環境」のサポート、「リスクを最小化するセキュリティ」強化--に沿った機能強化を行ったとしている。

 vSphereの強化ポイントは多岐に渡るが、主なものは次の通りだ。

  • VMware vCenterハイブリッドリンクモード--オンプレミス環境に加え、VMware Cloud on AWSやIBM Cloud、その他のVMware Cloud Provider Program参加パートナーのクラウドなどで稼働する異なるバージョンのvSphereとの共通の可視性と管理を実現する
  • シングルリブートとVMware vSphereクイックブート--サーバの再起動に擁する時間を短縮。シングルリブートは、ESXi 6.5から6.7へのアップデートなどの際に必要となる再起動回数を減らすことで所要時間を短縮。クイックブートは、再起動の際に実行されていたハードウェア初期化処理を省略することで1回の再起動に要する時間をほぼ半減させた
  • VMware vSphereパーシステントメモリ--DRAMと同等のアクセス性能をフラッシュメモリと同等のコストで実現するとされる次世代の不揮発性メモリデバイスをサポート。DIMMスロットに接続されるブロックストレージまたはバイトアクセス可能なストレージとして仮想マシンから利用可能に
  • NVIDIA GRID vGPUに対応--vGPUを利用チュの仮想サーバのサスペンド/リジュームが可能になり、より柔軟で効率的な運用が可能に

vSphere 6.7の機能拡張に際して重視された3つの要件

 また、この他の興味深いポイントを幾つか挙げると、「暗号化されたCross-vCenter vMotion」では、バージョンが異なるvCenter間でvMotionを実行し、さらにトラフィックを暗号化できる。データセンター間で仮想サーバを移動する際に途中経路としてインターネットを経由するような場合でも、暗号化によってセキュリティを強化できる。

 「仮想マシン単位でのEnhanced vMotion Compatibility」では、プロセッサの世代が異なるサーバ間でのvMotionが利用しやすくなる。VMwareの仮想サーバは、物理サーバのプロセッサに直接アクセスすることでハイパフォーマンスを実現しているが、その副作用として、プロセッサの物理的な仕様差に直接影響を受けてしまうことが挙げられる。従来のvMotionでは、古いサーバで稼働していた仮想マシンを世代が異なるプロセッサを搭載したサーバに移動すると、仮想マシンがプロセッサのアップグレードを検知し、プロセッサの新機能を使い始めてしまうために旧世代のサーバに戻すことができなくなってしまう。


vSphere 6.7の主な新機能

 今回の拡張では、この問題を回避するために仮想サーバ単位で互換性確保を指定することで、新世代サーバに移動した際にも新機能を使わないようにブロックする。これにより、元のサーバに戻せる状態を維持する。一種のレガシーサポートと位置付けられるような機能だが、基幹業務のクラウドシフトを慎重かつ段階的に実施したい企業などには歓迎される機能実装ではないだろうか。

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