Intelは米国時間5月16日、「OpenVINO」(Open Visual Inference & Neural network Optimization)を発表した。OpenVINOは、エッジにおける視覚アプリケーションでコンピュータビジョンやディープラーニング(DL)推論を容易に実現するためのツールキットだ。
同ツールキットを使うことにより、開発者はクラウド上で(「TensorFlow」や「Apache MXNet」「Caffe」といった一般的なフレームワークを用いて)AIモデルを構築、訓練し、さまざまな製品に配備できるようになる。OpenVINOは、グラフィックス機能を統合した同社のCPUや、FPGA(Field Programmable Gate Array)、視覚処理ユニット(VPU)「Movidius」といった、人工知能(AI)分野向けのさまざまなアクセラレータ技術に対する投資の成果となっている。
Intelでコンピュータビジョンおよびデジタル監視の責任者を務めるAdam Burns氏は米ZDNetに対して、「インテリジェンスのためのアーキテクチャは複数存在している」と述べた。
OpenVINOによって、一連の最適化能力とランタイムエンジンが提供されるため、開発者は高度なチューニングを施したFPGAであるか、高効率なVPUであるか、その他の選択肢であるかにかかわらず、自らのニーズに合致する最適なアーキテクチャ上でモデルを処理できるようになる。小売り分野を例にとると、開発者は販売時点情報管理(POS)などのさまざまなエッジアプリケーションや、デジタルサイネージ、セキュリティカメラなどでコンピュータビジョン能力を活用したいと考えるかもしれない。
Intelによると、IoT市場は世界的に飛躍的な成長を遂げており、その理由としてAIを活用した視覚アプリケーションの著しい増加が挙げられるという。Burns氏は、企業がエッジにおけるインテリジェンスを必要としている理由にはさまざまなものがあると述べ、その例として、長期的に格納するデータの量を減らしたいという要望や、帯域幅の制約に関するニーズ、収集したデータに基づいて迅速な意思決定を下す必要性といったものを挙げた。なお、Intelの2018会計年度第1四半期におけるIoTグループの売上高は、前年同期比17%増の8億4000万ドルとなっている。
Burns氏によると、OpenVINOは産業分野や小売り分野、エネルギー関連分野、医療分野を含む幅広い市場での応用が期待できるという。OpenVINOは既にさまざまなユースケースで利用されている。例を挙げると、Dahua Technologyがスマートシティと交通管制のソリューションで、GE Healthcareが医療画像分野で活用している。また、Agent Video Intelligence(Agent Vi)やDell Technologies、Honeywellといった企業も利用している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。