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課題解決のためのUI/UX

多様性への対応--課題解決のためのUI/UX

綾塚祐二

2018-06-08 07:00

 ユーザーインタフェース(UI)を設計したり、ユーザーエクスペリエンス(UX)を考察したりするには、多種多様なユーザの感覚・認識や動作のパターンを想像・推察する必要がある。ユーザーはそれぞれ持っている知識も違えば馴れているものも違うだろうし、体格や身体能力、感覚能力、認知能力なども違う。国をまたがるレベルや地域、属性、個人レベルでの文化の違いなどもある。

 もちろん、あらゆる場合に充分に対応するのは難しい。しかし、そうした多様性を持つユーザの一部を、不必要に排除する(使えない状態にする)ようなUIはあまり良いUIとは言えない。製品であれば、一定数のユーザーを失うことにもつながるし、それによって信頼も失うかもしれない。逆に、多様性に配慮しようとすることで、誰にとっても使いやすい方向へ劇的に改善されることも多い。

 今回はこうした多様性にまつわることがらについて考えていく。

学ぶべきさまざまな「違い」

 「自分と他人は違う」というのは乳児期の早い段階から認識できるようになるそうだが、具体的にどう違うのか、どれほど違い得るのか、ということを理解するには、多くの経験や学習が必要である。手足の不自由さやそれに伴う困難などは傍から見ていても比較的認識しやすいが、感覚や認知などの能力の違いは、分かりづらい場合も多い。特に、どういう違いがあり、何故にどんな困難が生じるかなどを理解するのは難しい。気に掛けなければ日常の暮らしの中ではまず気づかないであろうような多様性が存在する。

 それゆえ、UIのデザインや情報デザインを行う人は特に、基本となる知識の一つとしてそうしたことを積極的に学んでおかねばならない。さもなくば、無意識に一部のユーザーに困難を強いてしまい、それを指摘されても何のことか理解できない、という事態が起こってしまう。

 例えば、広く知られているのが色覚に関する多様性である。人によっては赤と緑の区別がつかない、つけづらい、というのを聞いたことがある人は多いであろう。他にも、青と黄色の区別がつきづらい、色全般の区別がつかない、という人たちもいる。そのため、「ユーザーに色だけ(特に、濃淡の差の少ない色だけ)で何かを区別させる」というのは、情報デザインとしてやってはいけないことの1つである。

 色以外の要素、形や文字なども併せて違いを付けて使うことは、あるユーザーにとってそれらのうちに区別が難しい要素があったとしても対応可能にするということである。そして、複数の要素で区別できるユーザーにとっても、区別できる要素が多いほうが認識しやすさや間違いにくさにつながる。特に重要度の高い情報は、なるべく複数の要素やモダリティで表現したい。

 色覚以外にも、自分が当たり前のように識別できるものが、まったく識別できない人がいたりするかもしれない。

 感覚的なものに限らず、知識的なものでも同様である。そして逆に、自分では識別できない事柄を敏感に識別できるユーザーもいるかもしれない。そうした要素は、迂闊に使うとそれに敏感なユーザーを無用に混乱させる可能性もあるので、こちらも注意したい。

「識別可能」だけで安心してはいけない

 これもまた基本的なことだが、UIの設計においては「充分に識別可能だから間違える・分からないことは(ほとんど)ない」と安易に考えてはいけない。不特定多数が使うものであれば、よく見ないで・確認しないで操作する人がいる(むしろ少なくない) ことは想定せねばならないし(注意力や慎重さも多様である)、普段は慎重な人でも、他に注意が逸れていたり、体調が悪かったりすることで、能力が一時的に損なわれているかもしれない。

 慶應義塾大学の増井俊之教授は、UIに関してこうした考慮をすることを「泥酔していても使えることが大事」と表現している。同じユーザーでも状況によって多様な振る舞いをすること、また、たとえ自分自身に限っても多様な振る舞いをし得ることは、忘れてはいけない。多様性は自分ごとでもあるのだ。

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