マルイ農業協同組合(鹿児島県出水市、以下マルイ農協)とNECは5月28日、養鶏場のケージ内で死んだ斃死鶏(へいしけい)を発見するシステムを共同開発したと発表した。同システムはマルイ農協の組合員農場で2017年5月から実証・システム強化を重ねており、2020年度の実用化を目指している。
ケージ内の斃死鶏の見逃しは、重大な品質問題を引き起こす可能性があるため、鶏舎では、作業員が毎日各ケージの斃死鶏の検知作業を目視で行う。作業員の負荷が非常に高くなっていたことが課題だったという。マルイ農協の飼養規模は、卵用に約260万羽が常時稼動、肉は年間約1400万羽出荷している。
実証実験の様子
今回開発したシステムは、斃死鶏の検知作業をNECの画像認識技術と機械学習技術を組み合わせて自動化するもの。鶏舎内の通路を専用の台車で回り、ケージ内を撮影し、この動画をあらかじめ学習させた36万枚の画像と照合し斃死鶏を検知する。
これにより、1鶏舎あたり8000個あるケージ内の8万羽を、作業員が1羽ずつ目視確認する作業が不要になる。また、鶏舎のどの位置のケージに斃死鶏がいるのかが一目で分かるよう位置情報が表示できるため、作業の効率化が期待できる。
これまでの実証実験では、90%以上の高精度で斃死鶏の検知を確認できた。また従来に比べ検知時間を5分の1に削減できた。