CA Technologiesは、もっとも古くからある、もっとも伝統的なエンタープライズソフトウェア企業の1つだ。そのこともあって、これまで同社は、あまりイノベーションが活発な企業だとは見なされてこなかった。しかし、同社のDevOps担当ジェネラルマネージャーAshok Reddy氏は、状況は変わりつつあると話す。同社は、データ、機械学習、AIを活用することで、ソフトウェアの開発と展開のライフサイクルにおけるDevOpsのあり方を再定義しようとしている。
誰もが同じSaaSを使うようになれば、データをどう活用するかが差別化要因になる
1976年以来、CAは長い道のりを歩んできた。世界中に拠点を構え、1万人以上の従業員を抱えるこの数十億ドル規模の組織は、エンタープライズソフトウェアのプロバイダーとしてその名を知られている。 CAのような組織の製品ラインの進化を見るだけで、ITそのものの進化の流れが伝わってくる。
CAはメインフレームの時代に生まれ、クライアントサーバアーキテクチャの時代、マルチティアアプリケーションの時代を経て、クラウド時代を迎え、今やデータドリブンの時代になっている。その間、多くのことが変わったが、同社が掲げる「(テクノロジを使って)アイデアとビジネスの業績の間にある障害を取り除く」というミッションは大きくは変わっていない。
しかし、テクノロジやアプローチは大きく変化している。Reddy氏は、「CA Agile Operations Summit」で行った基調講演の中で、この状況を説明する際、自動化されたアプリケーションを自動運転車に例えた。アプリケーションの自動化に関わることの多くは、主に維持管理のための退屈な雑用だとみなされている。これには、アプリケーションのテストや展開、セキュリティ、統合など、DevOpsに関わるあらゆることが含まれる。
しかしReddy氏は、CAはこれらの面倒な作業から人間を解放し、データや機械学習、AIによって作業を自動化することを可能にしたと述べている。同社はこれを「継続的AIOps」と呼んでいる。
従来、企業はソフトウェアソリューションを導入することによってデジタル化とイノベーションを進めてきた、と同氏は言う。しかし、SaaSモデルの登場によって、誰もが同じSaaSを使うようになれば、企業はどこで差別化すればいいのだろうか。
同氏の用意した答えは、データドリブンアプローチをソフトウェアにも適用するというものだ。これまでは、ソフトウェアとしてルールをコード化して、それを導入し、その後それらのルールに基づいて運用を行っていた。しかし今では、ソフトウェアはずっと動的なものになっており、ソフトウェアに入力されるデータによって挙動が変わる。
「以前は、ソフトウェアは決定論的なものだった。開発し、導入し、品質を高め、ユーザーの要件を確実に満たせばそれで終わりだった。データドリブンアプローチでは、ソフトウェアは環境から学べることを取り入れる必要がある」とReddy氏は言う。
これは本質的な変化であり、ソフトウェアの挙動が決定論的なものから非決定論的なものに変わったことを意味している。このアプローチを用いることで、より適応力の高いソフトウェアを生み出すチャンスも生まれるが、不確実性のリスクも大きくなる。本番環境で使用しているソフトウェアの挙動が、非決定論的であることに不安を感じる人もいるだろう。
「非決定論的であるということは、ソフトウェアに入力するデータが正しいものでなければならないことを意味している。偏りがあってはならず、セキュリティやプライバシーなどの問題にも配慮する必要がある。ソフトウェアはどのようなアクションを取るのか。アクションは完全に自動化されているのか、それとも人間を関与させるのか。われわれの考えでは、こういったことすべてにライフサイクルが存在する」とReddyは述べている。