ビジネスインテリジェンス(BI)ツールのほとんどは、「何が起きたのか」に焦点を当てている。これからのBIツールは、「なぜそれが起きたのか」という情報を提供する仕組みが必要となる。BIツールベンダーの米Yellowfinで最高技術責任者(CTO)を務めるBrad Scarff氏はこのように話す。
2017年10月にリリースされた最新版「Yellowfin 7.4」には、そうしたデータに潜む「Why(なぜ)」を自動分析する機能が組み込まれている。例えば、新機能「Assisted Insights(自動インサイト)」には、機械学習のアルゴリズムが実装されている。ビジネスで直面する課題に対して、統計的に最も関連のある結果を示し、物事の発生した原因を自動で提示することが可能だ。
米Yellowfinで最高技術責任者(CTO)を務めるBrad Scarff氏
「データアナリストはビジネスの課題に素早く応えることができ、ビジネスユーザーはデータから物事の発生原因を自ら探ることができる」とScarff氏はアピールする。
Assisted Insightsは、ビジネスユーザー向けの「Instant Insights(インスタントインサイト)」、データアナリスト向けの「Assisted data discovery(データディスカバリアシスタント)」という大きく2つの要素で構成される。
Instant Insightsは、ビジネスユーザーがダッシュボードからインサイト(洞察)を引き出すための機能。内部の分析アルゴリズムを使ってデータを自動で分析し、その文脈に合わせてデータの説明を表示したり、データ間の差異を比較したりできる。ツールに不慣れなユーザーであっても、データアナリストに頼ることなく、自らの手で分析可能だという。
一方のAssisted data discoveryは、データアナリストが質問事項を設定するだけで、自動でグラフを生成、提案してくれる機能。Scarff氏によると、多くのデータアナリストが手作業でのレポート作成に膨大な時間を費やしている。この機能は、レポート作成に対する負担を軽減し、データを解釈する作業により多くの時間を割けるようにする。
さらに、Yellowfin 7.4では、分析のためのデータを準備するデータ変換機能も新たに組み込まれた。「ETLツールの簡易版に相当」(Scarff氏)する機能だという。ドラッグ&ドロップ操作で容易にデータを変換できるが、あくまで「本格的なETLツールを使用する予算がない」「そこまで高機能なETLツールは必要ない」というケースに対応するものだという。
Yellowfin 7.4は、統計分析やデータマイニング、機械学習といった専門ツールとの連携が強化されている。RやPythonなどの機械学習や統計分析で用いられるプログラミング言語に加え、「PMML(Predictive Model Markup Language)」「PFA(Portable Format for Analytics)」といった機械学習モデルの標準規格、機械学習ソフト「H2o.ai」もサポートする。
製品としての今後の方向性については、「Augmented Analytics(拡張分析)」に注力するとScarff氏は強調した。「人間の持つ直感を機械学習などの技術を使って拡張する」という意味合いが込められており、人間の作業や判断を自動化、高度化するアプローチだという。