IDC Japanは6月27日、国内マネージドプリント/ドキュメントサービス(MPDS)市場について2017年の売上実績と2022年までの予測を発表した。これによると、2017年の売上額は前年比5.4%増の598億円であることが分かった。また、同市場は2017~2022年に年平均7.5%で成長し、2019年には859億6700万円規模になると予測する。
国内MPDS市場 売上額予測、2013年~2022年(出典:IDC Japan)
※2017年までは実績値、2018年以降は予測
IDC Japanによると、MPDSは企業のオフィス出力環境の現状を分析した上で最適な出力環境を構築し、その環境を継続的に維持/運用していくアウトソーシングサービスである。MPDS導入によって、出力環境に関する総保有コスト(TCO)の把握/削減や出力管理業務プロセスの効率化、環境負荷軽減といった効果を期待できる。
国内MPDS市場は、IDC Japanが調査を開始した2009年以来、常に前年比で10%前後の高いペースで成長を続けてきたが、2017年の実績は5.4%増にとどまった。IDC Japanでは、近年、MPDSのコモディティ化に伴ってプリント環境改善ニーズの高いユーザー企業への販売が一巡したことや、多くのベンダーがMPDSをベースとしたソリューション提供の価値を訴求しきれていないことなど、複合的な要因が成長鈍化の原因であると見ている。
2017年のベンダー別売上額シェアは、富士ゼロックスが58.5%でトップ。これにリコー(17.9%)、キヤノン(13.1%)が続いた。その他のベンダーは10.5%だった。2016年に続いて、2017年も富士ゼロックスがシェア一位を維持し、上位ベンダーのシェアに大きな変化はなかった。この理由としてIDC Japanは、MPDSのコモディティ化によってベンダー間の差別化が難しくなったためと指摘する。
国内MPDS市場売上額ベンダーシェア、2017年(出典:IDC Japan)
IDC Japanでは、国内市場において、モバイルやクラウドなどをはじめとする「第3のプラットフォーム」の普及を前提としたビジネスモデルの転換があらゆる産業分野で起こると予測している。このような変革はデジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれており、このDXがあらゆる面の企業活動に影響を与える可能性がある。例えば、DXによってオフィスでの働き方改革が進み、今後はMPDSに対しても新たな働き方を支援するような価値提供が求められると見ている。