物件の画像情報を機械学習モデルで認識・判別
マンション選びでは立地や広さ、間取り、設備といったスペックもさることながら、外観や内装など実際の生活シーンをイメージできる画像情報がより大きなウェイトを占める。そして、これらの画像を含めた物件情報の検索性を高めるためには、画像1枚ごとに外観やリビング、洗面台といった内容を表すタグを付ける必要があるのだが、この作業のほとんどを不動産会社の担当者による手入力に頼っているのが実情だ。「必要なタグが入力されていない、間違ったタグが設定されているといったケアレスミスも数多く散見され、ユーザーの希望に近い物件が検索結果から漏れてしまう恐れがあります」と林氏は語る。
一方で不動産会社の担当者にしてみれば、タグ付けは非常に手間と時間の掛かる作業であることから、どうしても後回しにされがちだ。逆にいえば、貴重な営業時間内にタグ付け作業ばかりに専念していたのでは、肝心の顧客応対がおろそかになってしまうといった本末転倒の状況を招きかねない。
そこでLIFULL HOME'Sユーザーの利便性を高め、同時に情報入力を担う不動産会社の業務効率も改善するという両面からの課題解決を図るべく新たな方法を探った。そこで着目したのが機械学習の活用であり、2017年6月に設立されたAI推進ユニットが中心となり、物件の画像情報に自動的にタグ付けを行う仕組みを開発するに至った。
「LIFULL HOME'Sに登録された物件画像を認識・判別することで、不動産会社の側でタグ付けを行う必要はなくなりました。これまで画像1枚当たり十数秒から数十秒を要していた作業がほぼゼロとなったことで、担当者の業務負荷は大幅に軽減されています。そのぶん新規物件の登録スピードが向上し、ユーザー側の検索精度も向上するなど、サービスに大きな改善効果をもたらしています」と林氏は語る。