この数週間、Microsoft Azureのデータベースとアナリティクスに関する大きなニュースが次々と発表されている。米国時間6月27日には、Azureのデータストレージとデータ統合に関してさまざまな発表が行われた。また7月12日の朝には、Snowflake ComputingがAzure上でのデータウェアハウスサービスの一般提供を開始したという発表を行っている。同社のサービスはこれまで、Amazon Web Servicesでしか利用できなかった。
同日にはさらに、ラスベガスで開催されるMicrosoftのパートナーカンファレンス「Inspire」に先駆けて、同社自身のデータウェアハウスサービスと「Power BI」に関する発表が行われた。
データウェアハウス
データウェアハウスに関する発表は、「Azure SQL Data Warehouse」(SQL DW)に「instant data movement」と呼ばれる新機能が追加されたというものだ。
この機能は、データウェアハウスのコンピュートノード間で極めて効率的にデータを移動できるようにするもので、「SQL Server Gen2」の利用者に提供される。データの移動が高速化されることで、カラムベースでテーブルをjoinするクエリのパフォーマンスが大きく向上するという。Microsoftは、新たな機能である「Azure Accelerated Networking」とこの機能を併用することで、ノードごとに最大1Gバイト/秒の速度でデータを移動できるようになると述べている。
Microsoftは、SQL DW Gen2のストレージとキャッシュによる性能向上とこの新機能の組み合わせで、大幅な性能向上が期待できるとしている。実際同社は、調査会社GigaOm Researchに委託して「TPC-H」を使用したベンチマークテストでSQL DWと「Amazon Redshift」を比較し、良好な結果を得たと述べている。
同社は今後、このTPC-Hによるベンチマークについて説明するブログ記事を公表する予定で、GigaOmのレポートもオンラインで閲覧可能になっている。
Power BI
Power BIについては、ビッグデータ関連の発表とエンタープライズ利用関連の発表があった。
ビッグデータ関連では、「Power Query」のセルフサービスのデータ準備ツールが強化された。このツールはWindows版の「Excel」にも組み込まれているものだが、今回の強化によって、Power BIのクラウドサービス上に保存されているデータも処理できるようになった。
さらに、7月12日付けで「SQL Server Analysis Services」(SSAS)の多くの機能が統合されている。
また、同社のエンタープライズ向けレポーティングサービスである「SQL Server Reporting Services」(SSRS)もPower BIに統合された。これにより、Power BIのクラウドサービスでSSRSのレポートをホストし、表示することが可能になる。
エンタープライズ利用関連では、Power BIにMicrosoft Common Data Model(CDM)のサポートが追加されたほか、「Power BI Premium」に複数地域のコンプライアンス要求を満たす機能が導入された。これによって、特定データを特定の地域内に置かなければならないという要求に対応できるようになると同時に、データの読み込み時間も短縮されるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。