「ビジネスの意思決定者にも認知を広げたい」--米ギットハブ幹部 - (page 2)

大河原克行

2018-08-10 07:00

 2011年には、企業向けのオンプレミスサービスとしてGitHub Enterpriseをリリース。企業の自社サーバ上で運用できるようにした。同年には、ユーザー数が100万人に到達。2017年には、企業向けクラウドサービスの「GitHub Enterprise Cloud」をリリースした。2018年3月時点でユーザー数は2800万人に到達。180万社の組織と企業が導入し、フォーチュン100にランクされる45%の企業が活用しているという。また、8500万のリポジトリがホスティングされているという。

 2015年には、初の海外拠点としてギットハブ・ジャパンを設立。「日本国内のユーザー数は、2015年と比べて250%も増加しており、オープンソースプロジェクトに関わる日本の開発者は70%増加している。ここにきて、日本の大手自動車会社からも、GitHubがもたらすイノベーションを享受したいという声が上がっている。日本におけるAIの投資額は60%も増加すると言われており、IoTについても今後5年間で2倍の市場規模に拡大すると見られている。日本において、ますますオープンソースが重視されることになる。GitHubはこれからも日本の市場にコミットしていく」と述べた。現在、日本からの月間訪問者数は5400万人だという。

 またJohn氏は、「ソフトウェアの重要性はますます高まっており、米国では全ての企業はソフトウェアカンパニーだと言われるようになっている。ソフトウェアカンパニーになることは、ビジネス上の必須となる要因であり、競争に勝つためにはイノベーションが不可避である。そのために、オープンソースソフトが重視されている」とし、Amazonの攻勢を受けた米小売大手のWalmartがGitHubを活用して、電子商取引やモバイル決済などの新たなサービスを短期間で開始した事例を示し、「日本でも自動車メーカーや金融サービス、ヘルスケアの業界などが同じような課題に直面しており、ソフトウェアによるイノベーションが求められている。世界のイノベーションに対してオープンな姿勢を取り、ネットワークの一部になっていくことが重要である」と指摘した。

ギットハブ・ジャパンの池田尚史氏
ギットハブ・ジャパンの池田尚史氏

 さらに、ギットハブ・ジャパンの池田尚史氏は、「GitHubは、ソフトウェア開発の事実上の標準になっており、オープンソースの世界はもちろんのこと、企業での利用が多いことが特徴である。圧倒的なユーザーベースを持っており、コミュニティーからも強い支持を得ている」とし、「全てのソフトウェア開発プロセスをカバーしており、アジャイル開発へのシフトを促進する役割を担っている。GitHubは、ソースコード管理やコードレビューだけをサポートとすると考えている人も多いが、アイデア、ソースコード、レビュー、テスト、リリースまでの全ての工程をカバーしている」とした。

 オンラインストア「GitHub Marketplace」を開設し、連携ツールをはじめとして関連記事や書籍が膨大にあることも強みであるという。

 「ソフトウェアの資産化を促進すること、コード検索による問題の早期発見、解決の支援を行えること、透明性が高まるといったメリットも提供できる。機械学習を用いて脆弱性を発見し、開発者に通知する機能も提供可能だ。ソフトウェアの脆弱性管理を自動化している企業は、そうでない企業に比べて脆弱性リスクを60%低減している」などと述べた。

 GitHubは先ごろ、Microsoftによる買収が発表されたが、それについてもJohn氏が回答した。前述の発言のほかに、「Microsoftとは5年前から協力関係を持っていた。もともとはクローズドな会社であったが、それがオープンな会社に変わってきた。全てのツールを開発者にオープンにするという姿勢を持っており、その点ではわれわれと相性が良いと感じていた。Microsoftは、閉鎖的なままでは開発者コミュニティーから支持を失うことを知っており、この市場で継続的に価値を提供していくためには、オープンでなければいけないと理解している。買収の話が出た後も、カスタマーサポートへの質問はそれほど多くなく、開発者の多くがMicrosoftの戦略を理解しているということが分かった」などとした。

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