ガートナー ジャパンは8月20日、デジタルビジネス推進に関する調査結果を発表した。これによると、デジタルビジネス推進に対する「抵抗勢力がある」とした回答者は全体の39%に上り、抵抗勢力の部門については、最も多かった回答が「経営トップ」だということが分かった。
デジタルビジネス推進における抵抗勢力 (複数回答可)
この調査はウェブで実施された。対象は国内のITユーザー企業で、ITシステムの構築、導入、保守、運用およびサービス委託先の選定に関与している担当者。実施時期は2018年5月で有効回答数は412件。
抵抗勢力として挙げられた部門は、経営トップに次いで、「財務・経理部門」「業務部門」「営業部門」の順となった。ガートナーでは、IT部門は役員自らのコミットメントや、具現化に向けて経営サイドを巻き込める環境の構築を目指し、経営/役員層を関与させていくことが肝要だとし、最高情報責任者(CIO)やIT部門のリーダー一人ひとりが、経営レベルを納得させるビジネス知識や交渉能力を持ち、社長との信頼関係を構築できるようになる必要があるとしている。
また同調査では、デジタルビジネス推進の最大の障壁は、「人材」「技術力」「予算」であることも明らかになった。
デジタルビジネス推進の障壁 (複数回答可)
ガートナーは、人材不足がトップとなったのは想定範囲内としつつ、この問題は単純な人数不足だけでなく、最新の技術を使いこなせる人材や、企画能力に長けた人材、経営層をはじめとする社内外のステークホルダーと交渉できる人材など、役割に応じたさまざまなタイプの人材と能力の不足が、問題の根を深くしているとした。そして、これに対応するには、IT人材の採用や育成の強化だけでなく、ソーシングと調達能力の向上、IT戦略と予算の考え方や見せ方の変更、CIO個人のリーダーシップの強化など、多角的に切り込むことが重要だとした。
技術力不足に関しては、長期にわたるIT投資の抑制が影響しているとガートナーでは見ている。レガシーシステムを中心に、限られたIT経験しか持たない人材が増えており、デジタルビジネスに取り組もうとしてもIT部門内に技術力が不足しているケースが散見されるという。
予算については、デジタルビジネスの予算化や妥当性の確保の難しさはもとより、経営陣にデジタルビジネスに投資する意向があっても、保守運用とコスト削減が業務の中心であったIT部門にとっては、新しく企画・提案する能力が欠如していることが背景にあると分析している。