グローバル・ゲーム産業
近年、ゲーム市場は拡大し続け、グローバルで注目を集めています。2018年のグローバル市場規模は1379億ドル(約15.3兆円)、前年比13.3%の成長が見込まれています(※1)。また日本では、2018年は「eスポーツ元年(※2)」といわれ、ゲーム経済圏の拡大や新たなエコシステム形成が期待されます。
異なる業界のプレイヤーもゲームという成長市場を取り込もうと、周辺領域への参入が進んでいます。例えば、世界最大の家具量販店は、人間工学技術を用いたeスポーツ向け家具の製作を発表しました。また国内に目を向ければ、業界大手のシネマ・スクリーン運営事業者が、eスポーツ大会のライブビューイングを映画館で開催することを発表しました。このような事例が増加しています。
私の勤めるコンサルティングファームでは2018年に入り、ゲーム関連の問い合わせが増えており、今後eスポーツ市場への自社の既存商品・サービスの参入戦略調査ニーズが増加すると予想しています。本稿では、将来の「電子ゲーム産業」をテーマにしていますが、ゲーム産業向けに限らず、幅広く他の産業のビジネスマンに有用な情報であると考えています。
なぜなら、このような成長市場事例は自社業界のイノベーション、トレンド、その市場成長メカニズムを理解することにつながるからです。ゲーム経済圏の拡大の追い風になっているビジネス環境変化を、自社の既存商品・サービスの成長市場参入戦略に適用できるか俯瞰(ふかん)し、視点を変え、ぜひお読みいただきたいと思います。全4回にわたり、ゲーム産業のグローバルな市場の成長要因、話題のeスポーツの動向、エコシステムの変化、テクノロジの影響などを読み解き、成長を取り込む上での観点、コンセプトを提供します。
※2:「eスポーツ」とはエレクトロニック・スポーツに由来し、要は複数プレイヤーで対戦する電子ゲームを競技として捉える際の名称です。近年米国を中心として、世界で大規模eスポーツ大会が開催され、注目を浴びています。2018年2月に一般社団法人「日本eスポーツ連合(JeSU)」が設立されました。