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Linuxカーネル開発に「行動規範」--トーバルズ氏の態度許してきたコミュニティの今後を占う試金石に

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 編集部

2018-09-18 12:20

 Linux開発の動向を注視しているならば、Linuxカーネルの開発を巡り、非常に白熱した議論が繰り広げられるのは知っているだろう。Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏は米国時間9月16日、Linux開発コミュニティのメーリングリストであるLinux Kernel Mailing List(LKML)で、カーネル開発に従事する多くの人に非友好的な発言をしてきたことを自ら認めた。Torvalds氏は「私の個人的な行為によって傷つき、カーネル開発作業の場から追い払ってしまった人々」に対して謝罪し、自身の振る舞いを改めるためにしばらく開発作業を休む意向を明らかにした。しかし、こうした行動は、同氏に限ったことではない。そのため、Linuxコミュニティは米国時間9月15日、「行動規範(Code of Conduct)」を初めて採択すると発表した。

 Linux開発者のコミュニティには「紛争解決規約(Code of Conflict)」というものがあったが、カーネル開発コミュニティをより和やかな場所にすることに失敗した。主要なLinuxカーネル開発者のGreg Kroah-Hartman氏は、「紛争解決規約は、礼節を育み、お互いに最良の方法で接するという黙示的な目標を達成できていない。その他のプロジェクトやカーネル開発の他の分野では、明示的なガイドラインを定めることで成功している」と述べている。

 新しい行動規範は明快だ。冒頭に、以下のように記してある。

 「われわれコントリビューターとメンテナーは、オープンかつ友好的な環境を育むために、年齢、体型、障害、民族、性的な特徴、ジェンダー・アイデンティティと表現、経験の度合い、学歴、社会経済的地位、国籍、容姿、人種、宗教、性的アイデンティティ、性的指向に関わらず、あらゆる人々にとって、プロジェクトと当コミュニティへの参加がハラスメントフリーであることを誓約します」

 今後、Linuxコードのメンテナーは、好ましい振る舞いを奨励し、性的な表現、挑発的メッセージの投稿、ハラスメント、その他の職業倫理に反する行為の排除に取り組むことになっている。よもや、この新しい行動規範が衝突の原因になるとは思わないだろうが、それは間違っている。

 この規範は、オープンソースの行動規範である「コントリビューターの行動規範(Contributor Covenant)」をベースにしており、すでに「Eclipse」「Kubernetes」「Rails」などのプロジェクトで利用されている。ソフトウェア開発者でオープンソースの支持者であるCoraline Ada Ehmke氏が作成したものだ。

 ところがコントリビューターの行動規範の使用が、「Twitter」と「Reddit」で気難しい人々の反感を買っている。Linuxコミュニティの政治色が強まっており、社会正義のために戦う、いわゆるソーシャルジャスティスウォリアー(SJW)に乗っ取られているというのだ。例えばTwitterには、この新しい行動規範が「実際は、SJWが嫌う人々を取り締まるツールとして乱用されている。そしてSJWが好まない人は大勢いる」と投稿されている。

 TwitterとRedditでSJWへの非難が集中する中、LKMLの雰囲気は穏やかだ。実際にLinuxの開発に取り組んでいる人々が、この新しい行動規範の採択に取り乱していないことを示している。

 次に何が起こるだろう?非友好的な環境を理由に、Linuxコミュニティを離れた開発者の1人であるSage Sharp氏は、このようにツイートしている。「これまでTorvalds氏を立てて、彼の暴言を許してきたコミュニティが、果たして変わることができるのか、本当の意味で試されるだろう。Torvalds氏が態度を改めるだけでなく、Linuxカーネル開発コミュニティも変わる必要がある」

 どうなるか、今後の行方を見守りたい。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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