BlackBerryは米国時間10月4日、量子耐性を有したコードサイニング用サーバを同社のサイバーセキュリティポートフォリオに追加すると発表した。このサーバは、航空宇宙関連やコネクテッドカー、運輸インフラといった分野において長期にわたって使用している資産を有する顧客に向けたものとなっている。これらの資産は、量子コンピュータを用いた攻撃が台頭してくると予想される数年後にも使用され続けていると考えられるものだ。
このサーバは、量子耐性を有した暗号などを手がけるセキュリティ企業ISARA Corporationによる暗号ライブラリを使用する。これにより、量子コンピュータでも解読が難しい手法を用いて、ソフトウェアにデジタル署名を施せるようになる。
量子コンピューティングによって、現在一般的となっている公開鍵暗号はサイバーセキュリティ上の深刻な脅威に直面するということが以前から叫ばれている。現時点で専門家らは、量子コンピュータ技術の急速な発展によってこのような脅威があと5年少しで訪れると警告している。
IBM Researchのディレクターを務めるArvind Krishna氏は、「自らのデータを10年以上にわたって確実に保護したいと考えているのであれば、今すぐ代替の暗号方式に移行する必要がある」と述べている。
BlackBerryによると、長期にわたって資産を守っていくうえで、組織は手を打つ必要があるという。公開鍵暗号方式が広く普及しているため、量子耐性を有したシステムへの移行は数年がかりの取り組みになると同社は述べている。
BlackBerryの最高技術責任者(CTO)Charles Eagan氏は発表で、「量子耐性を有したコードサイニング用サーバを、われわれのサイバーセキュリティツールに追加することで、長期にわたって用いる資産に依存する業界が抱えるセキュリティ上の大きな懸念に取り組めるようになる。手がけている製品が自動車であるか、インフラの重要な一部であるかに関係なく、今後10〜15年にわたって機能する必要があるのであれば、量子コンピューティング攻撃について気にかけておく必要がある」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。