「Linux kernel 4.19」リリース、改善された「行動規範」が正式に盛り込まれる

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2018-10-23 13:23

 先頃リリースされた「Linux kernel 4.19」には、新機能やバグの修正だけでなく、新しいLinuxの「Code of Conduct」(行動規範)が盛り込まれている。

 ソフトウェアのソースコードツリーに自らの「Code of Conduct」(行動規範)を含めない組織もあるが、Linux開発者たちは普通のグループではない。「Linux 4.19」発表の際、Linuxの本リリースのリーダーで安定版ブランチのメンテナーであるGreg Kroah-Hartman氏は行動規範といくつかの小さな変更を追加した。

 Linux開発者たちが行動規範を追加する必要性を感じた理由について、Kroah-Hartman氏は次のように説明した。

 自分の仕事や趣味に役立てたい、あるいは世界中に浸透し、あらゆる人に自分の夢の基盤となる堅実なOSを提供してきたツールに貢献したい、といった目標や要件を持って、毎年、新しい人々が私たちのコミュニティーに入ってくる、ということを皆が思い出す必要がある。

 私たちのコミュニティーに入ってくるとき、彼らは私たちの多くが既に有している何年もの経験の知識を持ち合わせていない。そうした経験がないので、彼らは過ちやへまを犯す。彼らはコミュニティーの仕組みを学習する必要がある。そうした学習には、人々の対話に対処し、私たち全員が共有する基本的な社会規範と目標を理解しようと試みることも含まれる。開発者であれ、メンテナーであれ、あらゆる人間が共同作業中は敬意と尊厳を持って扱われることを示す文書をカーネルソースツリーで提供することによって、私たちはそうした新参者がより歓迎されるコミュニティーの構築に寄与している。このプロジェクトがあらゆる目標を達成することを私たち全員が望むのなら、そうしたコミュニティーの構築は私たちの未来にとって極めて重要である。

 同氏は、「われわれのコミュニティーにとって、この数カ月は大変だった。われわれのコミュニティー自体が、外部の他者から駆り立てられながら、内部から生じるものと争っていた」と説明し、開発者にそのような議論のサイクルに陥らないよう促した。「皆が同じ目標を共有し、見失うことのないようにしよう」と述べている。

 その目標は、これまでもこれからも、可能な限り最善のコードを生み出すことだ。行動規範によって、Linuxが質の悪いコードを排除しづらくなることを懸念する声もあったが、Linuxカーネル開発者でLWNの編集者であるJon Corbet氏は「そうした懸念には根拠がないということがいずれ分かるだろう」と述べていた。

 新しい行動規範は明快だ。冒頭に、以下のように記してある。

 「われわれコントリビューターとメンテナーは、オープンかつ友好的な環境を育むために、年齢、体型、障害、民族、性的な特徴、ジェンダー・アイデンティティと表現、経験の度合い、学歴、社会経済的地位、国籍、容姿、人種、宗教、性的アイデンティティ、性的指向に関わらず、あらゆる人々にとって、プロジェクトと当コミュニティーへの参加がハラスメントフリーであることを誓約します」

 Linuxのリーダーらは、行動規範を窮屈な規則として強要するのではなく、メンテナーが模範を示し導くようなものにしたいと考えている。Linus Torvalds氏も良い手本を示してくれると期待したい

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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