松岡功の「今週の明言」

日本ユニシス社長が説く「社員を鼓舞する起業家マインド」

松岡功

2018-11-09 10:10

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本ユニシスの平岡昭良 代表取締役社長と、日本IBMの朝海孝 常務執行役員の発言を紹介する。

「“クレイジーキルト”のマインドで社員には自由にやれと言っている」
(日本ユニシス 平岡昭良 代表取締役社長)

日本ユニシスの平岡昭良 代表取締役社長
日本ユニシスの平岡昭良 代表取締役社長

 日本ユニシスが先頃、2018年度上期(2018年4〜9月)連結決算と、2018年度(2019年3月期)から2020年度(2021年3月期)までの中期経営計画の取り組み状況について記者説明会を開いた。平岡氏の冒頭の発言はその会見で、新たな分野への取り組み姿勢について語ったものである。

 2018年度からスタートした中期経営計画では、「顧客・パートナーとともに社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」として、業種・業態の垣根を越え、さまざまな企業をつなぐビジネスエコシステムを創る中核となり、ビジネスと社会のデジタルトランスフォーメーションを実現するプラットフォームを提供していく方針を掲げている。

 その重点施策の1つに「注力領域の選択と集中」を挙げ、同社にとって新規市場へ果敢に進出している。具体的な注力領域としては、図に示すように「ネオバンク」「アセットガーディアン」「デジタルアクセラレーション」「スマートタウン」の4つを挙げている。

図:現行の中期経営計画における注力領域
図:現行の中期経営計画における注力領域

 これらをめぐる平岡氏の話で興味深かったのが、冒頭の発言に象徴される新たな分野への取り組み姿勢だ。キーワードは「Crazy Quilt(クレイジーキルト)」である。

 Crazy Quiltという言葉は、大企業も知っておくべきイノベーション創出に必要な5つの起業家マインドの1つとされ、「協力してくれる人を増やしていく」ことを意図している。シリコンバレーで実践されている「起業家に共通して見られる問題解決アプローチ」で、「Effectuation(エフェクチュエーション)」理論と呼ばれている。

 もともとクレイジーキルトとは、大きさや生地の異なる布をつなぎ合わせて作るパッチワークのことを指すが、Effectuation理論においては行動していく中で得られた協力者とのコラボレーションを意味している。

 ちなみに、他の4つの言葉を簡単に紹介しておくと、今手元にあるリソースから始める「Bird in Hand」、許容可能な損失額を設定する「Affordable loss」、偶然の出来事を活用する「Lemonade」、コントロール可能な部分に集中する「Pilot in the Plane」といった具合だ。興味をお持ちの方は、ぜひご自身で調べてみていただきたい。

 平岡氏は社員にもCrazy Quiltのマインドを説き、自由に活動する中から同社ならではの得意領域を浮き彫りにしていきたい考えだ。「今はこのやり方で行く。その中から目指すべきところを2020年度までにより明確に示せるようにしていきたい」と、決意を新たにしていた。

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