VMware 最高執行責任者(COO)のRaghu Raghuram氏
クラウド基盤サービス「VMware Cloud on AWS(VMC on AWS)」がAmazon Web Servies(AWS)の東京リージョンで提供開始された。これを受けて、VMware 最高執行責任者(COO)のRaghu Raghuram氏は「日本企業でのクラウド移行が劇的に進む」と期待を寄せる。
VMC on AWSは、サーバー、ストレージ、ネットワークなどオンプレミスのVMware環境と同じ環境をAWSのベアメタルサーバで構築・稼働するもの。オンプレミスとクラウドの間でのワークロードの移動や、災害対策・高負荷対策として利用できる。サービスの提供、販売、サポートはVMwareが行う。また、AWSのさまざまなサービスにもネイティブにアクセスできるようになる。
VMC on AWSの東京リージョンでの提供開始は、11月13~14日に開催された「vFORUM 2018」に合わせて発表された。これまで、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、欧州(フランクフルト)、欧州(ロンドン)、アジアパシフィック(シドニー)の各リージョンでのみ利用可能だった。2019年第2四半期には大阪ローカルリージョンでの提供開始も予定している。国内に閉じた環境でのバックアップやディザスタリカバリも容易となる。
Raghuram氏は、VMC on AWSの試用を進めている日本企業の例として、ケイ・オプティコムを挙げた。同社では、2018年3月に大阪にある自社データセンターとAWSのオレゴンリージョンで提供されているVMC on AWSを利用してPoCを実施した。わずか1~2カ月で検証を終え、要件を満たすのに十分な結果を得られたという。「vMotionを使って稼働中のアプリケーションを無停止で移動させることができた」(Raghuram氏)
「クラウドへの移行に二の足を踏む企業はまだ多いと聞いている。システムの動作検証や性能試験、ITチームの再訓練・再教育などが障壁となり得る。VMwareのテクノロジを使えば、オンプレミスとクラウドで環境を意識せずにシステムを運用できる。それによってクラウド採用までの期間を大幅に短縮できる」
また、プライベート、パブリック、ハイブリッドの各クラウド環境におけるすみ分けについては、「誰が使うシステムなのか」を意識した判断が重要だとする。「ユーザーの種類やデータの場所、法規制の有無などによって決まる。例えば、世界中の人が使うようなシステムならパブリッククラウドがいいし、社内のデータを処理するならプライベートクラウドが適している」(同氏)
その一方で、「既存のアプリケーションが動的に拡大縮小できないような構造であれば、クラウドに移行してもあまり恩恵を享受できないだろう」とも指摘した。