“クラウドのサイロ”を壊す、ヴイエムウェアの戦略とビジョン--vFORUM 2018

大河原克行 2018年11月14日 07時00分

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ヴイエムウェア 代表取締役社長のJon Robertson氏
ヴイエムウェア 代表取締役社長のJon Robertson氏

 ヴイエムウェアは11月13、14日の2日間、年次カンファレンス「vFORUM 2018 TOKYO」を都内で開催している。テーマは、「POSSIBLE BEGINS WITH YOU-未来はあなたが切り拓く-」。同社が2018年8月に、米国ラスベガスで開催したVMworld 2018で発表した内容を紹介するとともに、開催前日に発表された「VMware Cloud on AWS」の東京リージョンでのサービス提供開始について触れるなど、日本の顧客、パートナーにとっても関心の高い内容になった。

 また、会期中には、数多くのセッションが開催されるほか、ヴイエムウェアのさまざまな最新ソリューションを紹介するショーケースも用意されている。開催初日となる13日のゼネラルセッションでは、VMwareの最高経営責任者(CEO)であるPat Gelsinger氏をはじめとする同社幹部が登壇。「Technology Superpowers」をテーマに、同社の戦略などについて説明した。

 最初に登場したのは、ヴイエムウェア 代表取締役社長のJon Robertson氏。「VMwareは2018年で20周年を迎え、日本法人も15周年を迎えた。その間、変わらないのは、常にサイロを壊してきたということである。サーバやネットワークのサイロを壊し、いまはクラウドのサイロを壊している。現在、グローバルで50万社、日本では2万社で利用されている。昨日、VMware Cloud on AWSの東京リージョンでのサービス開始を発表した。欧米では、クラウドへの移行、データセンターの拡張、次世代アプリの開発、運用などが代表的なユースケースとなっている」などと説明した。

アマゾン ウェブ サービス ジャパンの長崎忠雄社長
アマゾン ウェブ サービス ジャパンの長崎忠雄社長

 また、ゲストとして登壇したアマゾン ウェブ サービス ジャパンの長崎忠雄社長は、「VMware Cloud on AWSを早く使いたいという日本のユーザーの声が多かった。いままで使っていたVMwareの環境を、そのままAWSに移行できる。また、高い可用性を提供できる。日本のユーザーが抱える課題を解決できるソリューションであるとの期待も大きく、私たちも積極的に提案してきた。120以上のサービスを利用して、顧客のトランスフォーメーションを支援できる。また、VMware Cloud on AWSを販売する20社のパートナーのうち、CTC、NEC、TIS、NTTデータ、NRIは、AWSのプレミアパートナーでもある。さらに、AWSとVMwareの協力体制によって、大阪リージョンでもサービスを提供することになる。日本の顧客にとっても、我々にとっても、大阪は重要な位置付けを担うものになる」と述べた。

 また、VMware Cloud on AWSの早期検証プログラム(EAP)に参加したテプコシステムズ 取締役常務執行役員の川名康雄氏は、「東京電力グループにおいて、共創を実現するデジタルプラットフォームがVMware Cloud on AWSになる。当社は、EAPに参加し、検証を行ってきた。今後は、アプリケーション、サービスにも活用の幅を広げたり、ディザスタリカバリ環境としても活用したい」などと述べた。

テプコシステムズ 取締役常務執行役員の川名康雄氏
テプコシステムズ 取締役常務執行役員の川名康雄氏

 続いて登壇したVMware CEOのGelsinger氏は、「テクノロジは中立である。この技術を良いことのために使う必要がある。いまは、クラウド、モバイル、人工知能(AI)/マシンラーニング、エッジ/IoTの4つの優れた技術が、スーパーパワーとなる。さらに、これが組み合わせると、より強いパワーを発揮することになる。それを良いことに活用したい」と切り出した。

 続けてGelsinger氏は、同社が発表した新たな製品群を次々と紹介してみせた。

 最初に言及したのはセキュリティ。「いまはセキャリティがきちんと機能していない。多くの費用を投資しているのに被害額が増えているのはその証だ。後付けで対策しているのがその要因。これを変えなくてはならない。VMwareでは、インフラそのものにセキュリティを直接埋め込む本質的なセキュリティの実現とともに、脅威を追いかけるのではなく、はじめから良いものだけを入れ、攻撃の対象を小さくするマイクロセグメンテーションの考え方によってこれを解決しようと考えている」とし、vSphereとネイティブに統合したvSphere Platinumを提供していること、さらにNSXとの組み合わせでコンピュータとネットワークの保護を実現していることを示した。

 また、ハイブリッドクラウドへの取り組みについては、「VMwareは、5年前からハイブリッドクラウドに取り組んできたが、当時の反応は、パブリッククラウドの利用が増えているときであり、ハイブリッドクラウドは過去にしがみついているのではないかとさえ言われた。だが、いまでは多くの企業が、ハイブリッドクラウドを活用し、これが将来の姿であると認識されている。VMwareでは、一貫性のあるインフラストラクチャであり、一貫性のある運用を実現できるVMware Cloud Foundationを提供している。また、AWSとの協業は、ハイブリッドクラウドの実現にも重要な役割を果たす。これは、パブリッククラウドのナンバーワン企業と、プライベートクラウドのナンバーワン企業が手を結んだものであり、業界を揺るがすものになる。日本でも、VMware Cloud on AWSを提供できることをうれしく思う。2019年には、全てのアベイラビリティゾーン(AZ)でVMware Cloud on AWSを展開できる。これは、グローバルに事業を展開している日本の企業にとってもメリットになる」などとした。

VMware CEOのPat Gelsinger氏
VMware CEOのPat Gelsinger氏

 ここでは、vSANの導入企業が1万5000社以上に達していること、グローバル2000社の半分に導入されており、市場全体で34%のシェアを獲得していることにも触れた。

 さらに、VMware Cloudをデータセンターからエッジまでエンドツーエンドで提供し、IoTやエッジコンピューティングへの対応や、VMware Cloud Foundationをサービスとして活用できる「Project Dimension」についても説明。「エッジ/IoTは、スーパーパワーの一つであるが、この分野は日本の企業が優位性を発揮でき、最大のチャンスがある領域である」と位置付けた。

 加えて、Amazon RDS on VMwareについても説明。「VMware Cloud on AWSを発表したときに、プライベートクラウドをパブリッククラウドに移行させるだけなのかと言われたが、Amazon RDS on VMwareによって、パブリッククラウドをオンプレミスに持ってくることができるようになる。両社の関係が双方向になった。RDSと同じ環境が、オンプレミスでも実現でき、開発者や運用する人にとってもメリットが大きい」などと述べた。

 そのほかに、クラウド内のワークロードの管理・保護・運用を行うVMware Cloud Operations、あらゆるクラウドに対して制限付きアクセスを提供するVMware Cloud Automations Services、NSXによって実現するVirtual Cloud Networkへの取り組みや、第5世代移動通信(5G)に関する新たなネットワークサービスの提供にも取り組んでいることも示した。

 また、「VMwareとコンテナの技術は競合するものではなく、補完するものである。VMwareはインフラの問題を解決し、コンテナおよびKubernetesは、アプリケーションの問題を解決する。この2つを提供するのがわれわれの戦略である」としたほか、買収を発表したHeptioについては、「Kubernetesを開発した3人のうちの2人が作ったものである。これがVMwareの一部になる。Kubernetesが次世代アプリケーションの構築の場になる」と述べた。

VMware CTOのRay O'Farrell氏
VMware CTOのRay O'Farrell氏

 さらに、「Pivotalとともに、VMware PKSを発表しており、これにより、エンタープライズ環境でKubernetesをデプロイできるようになる。そのほかにも、VMwareは、Kubernetesのデプロイに必要なものは全てサポートしている。また、VMware Cloud PKSのベータ版を発表した。いまは、AWS上で動作するが、2019年頭には、AzureやGoogleにも対応。さらにオンプレミスでも動作するようになる。コンテナやKubernetesが、エンタープライズグレードのサービスに広範囲に対応できるようになる。そして、VMware PKSおよびVMware Cloud PKSは、Heptioの技術によって、バックアップや回復力、運用を強化。市場への導入を加速できる。VMwareは、Kubernetesのリーダー的存在になる」とした。

 講演の最後に登壇したVMware 最高技術責任者(CTO)のRay O'Farrell氏は、VMware Cloud on AWSの東京リージョンを活用したデモストレーションのほか、複数のパブリッククラウドを管理するCloud Health by VMwareや、Kubernetesの導入と運用の大幅な簡素化を実現するVMware PKSを披露。また、あらゆるデバイスを、エンタープライズレベルのセキュリティを確保しながら、シンプルな操作で管理ができるWorkspace ONEのデモストレーションも行い、「VMwareのビジョンの基盤になるのがハイブリッドクラウドである。プライベートのデータセンターとパブリッククラウドでも統一した環境で管理ができる」などとした。

東京リージョンを活用したVMware Cloud on AWSのデモストレーション
東京リージョンを活用したVMware Cloud on AWSのデモストレーション

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