「VMware Cloud on AWS」が東京リージョンで提供開始--日本企業のクラウド移行を促進

大河原克行 2018年11月13日 06時30分

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ヴイエムウェア 代表取締役社長のJon Robertson氏
ヴイエムウェア 代表取締役社長のJon Robertson氏

 ヴイエムウェアは11月12日、同日から「VMware Cloud on AWS」をAmazon Web Services(AWS)の東京リージョンで提供開始すると発表した。さらに、AWSのデータセンターにおいて、同社が災害復旧(DR)サービスやクラウドマイグレーション、クラウドベースの仮想デスクトップ、サポートの強化などの機能を拡張することも発表した。

 ヴイエムウェアのJon Robertson社長は、「VMware Cloud on AWSの東京リージョンでのサービス提供については、昨年開催したvForum 2017で、AWSジャパン(アマゾン ウェブ サービス ジャパン)の長崎忠雄社長とともに、2018年中に提供すると発表していた。その約束に、何とか間に合った。日本のリージョンでのサービス提供に関しては、品質や安定感などに対する期待が高く、既にケイ・オプティコム、近鉄情報システム、ゼンリンデータコム、九州電力をはじめ、10社がPoC(概念実証)を開始している。また、20社のパートナーを通じて、VMware Cloud on AWSを販売する体制が整っている。マネージドサービスプロバイダー契約をしているNECと伊藤忠テクノソリューションズでは、販売およびサポートを行うことになる」としたほか、「次は、大阪ローカルリージョンを開設する予定である。時期は現時点では言えないが、2019年中には、全世界の全てのアベイラビリティゾーン(AZ)で、VMware Cloud on AWSのサービスを提供できるようになる」とした。

VMware クラウドプラットフォームビジネス担当上級副社長兼ゼネラルマネージャのMark Lohmeyer氏
VMware クラウドプラットフォームビジネス担当上級副社長兼ゼネラルマネージャのMark Lohmeyer氏

 VMware クラウドプラットフォームビジネス担当上級副社長兼ゼネラルマネージャのMark Lohmeyer氏は、「VMware Cloud on AWSの米国での活用例では、データセンターの拡張、ディザスタリカバリ、クラウドマイグレーション、次世代アプリケーションという4つのユースケースでの活用が多い。特に、クラウドマイグレーションでは、かつては2~3年をかけてクラウドに移行させていたものが、わずか2~3カ月で移行できる」と述べた。

 ここではユーザー事例として、英国のStagecoachが30秒ごとに8000台のバスの位置を追跡する45テラバイトのミッションクリティカルなアプリケーションをパブリッククラウドに移行した例や、マサチューセッツ工科大学(MIT)が700以上のワークロードをわずか9日間でパブリッククラウドに移行した事例を紹介した。

ケイ・オプティコム 技術本部サービスプラットフォームグループシステム基盤チームの福井希佳氏
ケイ・オプティコム 技術本部サービスプラットフォームグループシステム基盤チームの福井希佳氏

 会見では、日本でVMware Cloud on AWSのPoCを開始している企業を代表して、ケイ・オプティコム 技術本部サービスプラットフォームグループシステム基盤チームの福井希佳氏がゲストで登壇。「従来の仮想化基盤では、計画外のリソース要求に応えられないこと、案件管理や構成管理が追い付かないといった課題があった。そこで、パブリッククラウドへの移行を検討し、VMware Cloud on AWSが最適であると判断した。VMwareの開発体系をそのままクラウドに適用できるため、開発者への負担が少ないこと、リソースを柔軟に使えるというメリットがある。2018年3月からスタートしたPoCでは、ケイ・オプティコムの大阪のデータセンターと、AWSの米国・オレゴンリージョンのデータセンターを結んで検証を行ったが、ユースケースを満たすのに十分な結果を得ることができた。東京リージョンであれば、同等以上の結果が得られるものと期待している」などとし、「VMware Cloud on AWSの導入を検討する際には、ユースケースをできるだけ具体的にすること、オーバーレイネットワークに詳しい人材を活用することに注意してほしい」と語った。

 VMwareの最高経営責任者(CEO)であるPat Gelsinger氏は、「日本のユーザーは保守的なところがあるが、もっとクラウドの俊敏性を活用してほしい。VMware Cloud on AWSは、日本の保守的なユーザーにも、満足ができる高品質とセキュリティを提供できる。そして、迅速に立ち上げることもでき、クラウドへの移行を促進するものになるだろう。VMware Cloud on AWSをぜひ使ってほしい。VMwareが提供する製品は、日本で人気を博すものになるだろう」とコメント。

VMware CEOのPat Gelsinger氏
VMware CEOのPat Gelsinger氏

 これを受けて、ヴイエムウェアのRobertson社長は、「日本は、米国に比べて2、3年ほど遅れる傾向がある。日本では、AWSを使っているユーザーは多いが、ミッションクリティカルの領域では、まだ利用しているユーザーは少ない。VMwareは、プライベートクラウドにおいて、安定的な製品を提供してきた実績がある。この安心感をパブリッククラウドでも利用できるようになる。日本のユーザーは、VMware Cloud on AWSによって、初めて大きなワークロードをパブリッククラウドに乗せることができるようになる。日本企業でのPoCは長いのが特徴であるが、波が来るときには一気に来る。既に10社がPoCを開始しており、手応えを感じている」などと述べた。

 一方、今回の会見で新たに発表した機能の強化では、ディザスタリカバリにおいて、これまでの倍増となる1000台の仮想マシンまでを対象したVMware Site Recoveryや、VxRailおよびvSAN ReadyNode、VMware Site Recoveryによるハイブリッドクラウドディザスタリカバリを実現。クラウドマイグレーションでは、Hybrid Cloud Extension(HCX)による接続と移行の強化、マイクロセグメンテーションによるアプリを中心としたセキュリティの強化を実現。大規模でセキュアなクラウドへの移行を可能にする。「VMware Cloud MotionとvSphere Replicationにより、ダウンタイムなしという最高レベルの移行を可能にする」(米VMwareのLohmeyer氏)という。

 また、クラウドベースの仮想デスクトップでは、Horizon Enterprise Suiteのサポートを実現する。「クラウドベース仮想デスクトップは、日本のユーザーにとって、需要が高いものになると見ている。VMware Cloud on AWS向けHorizon 7により、仮想デスクトップとアプリケーション向けの統合的なハイブリッドクラウド環境をスムーズに構築できる」(同)とした。

 さらに、サポート機能の強化としては、ユーザーの地域、状況に応じた製品の利用方法に基づいた参照頻度の高いコンテンツを表示するインテリジェント検索、VMwareのサポートエンジニアとカスタマサポート担当によるチャット対応、サポートリクエストの代理作成などを提供する。

 米VMwareのGelsinger CEOは、「いまは、全ての企業がマルチクラウド環境となっており、ひとつの企業が平均で8つのクラウドを利用。それが今後1年で10個以上に増えていくことになるとの予想が出ている」と前置きし、「VMwareのクラウド戦略は、ハイブリッドクラウドを可能にすること、パブリッククラウドにおけるデリバリと管理を提供すること、次世代の開発環境をKubernetesとコンテナによって実現するといった3点が中心となる。ハイブリッドクラウドでは、VMware Cloud on AWSのサービスを日本でも提供し、パブリッククラウドでは、マルチクラウド管理のCloud Heathを買収し、パブリッククラウドのリソースをより有効に管理できるようになる。そして、次世代の開発環境では、Heptioの買収により、Kubernetesコミュニティーとの連携を強化し、エンタープライズにおける次世代アプリケーションの活用を促進していく」などとした。

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