ロボティクスは企業に不可欠な技術となりつつあり、企業の変革につながる価値を提供している。しかし、情報技術・イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation:ITIF)によると、その受け入れで、米国はアジアをはじめ世界に遅れをとっているという。
ITIFのレポートでは、ロボティクスの利用は産業を問わずに生産性と効率を改善するとしている。ロボティクスの受け入れではこれまで製造業がリードして来たが、農業、物流、ホスピタリティなどの分野でも受け入れが進みつつあるという。さらに、Excelのスプレッドシートからデータを抽出するなど、ロボティクスはバックオフィスや、初歩的なデータ入力タスクでも役立っているという。これらの技術の受け入れが遅れると、米国などの企業は世界の企業との競争でリスクにさらされるとITIFは警告している。
ITIFのプレジデントでレポートを作成したRob Atkinson氏はプレスリリースで「ロボットは、生産性や生活水準を向上させるための鍵を握っている。しかし、ロボットは大量の失業を招くのではないかという危険な誤解が広がっている」と述べている。
ITIFのレポートは、国際ロボット連盟(IFR)のデータをベースに27カ国の産業ロボットの受け入れ比率を調べている。しかしITIFでは、ロボットを使うという意思決定は、技術への支出と人間の労働者への支出の対比に依存するので、国や地域ごとの労働者の報酬レベルのばらつきを考慮している。
報酬を考慮した結果、ロボットの受け入れで先行しているのは東南アジアの国々となった。特に韓国がリードし、続いてシンガポール、タイ、中国、台湾が後に続いているという(編集部注:日本は7位)。一方で米国は大きく遅れをとり、16位に終わった。受け入れ比率は報酬レベルから期待される数値より49%低い。報酬を考慮しない場合でも、米国は7位で受け入れ比率はトップの韓国より30%低い。
米国がロボットで遅れをとっている理由は明確ではないがたくさんの理由が考えられる、とITIFは記している。例えば、先進する企業の中には、国がロボットのイノベーション関連で目標を立てるなど戦略を持っているところがあるという。また、韓国、台湾、日本などの国には、製造業によるロボット受け入れ促進に関する公共政策や組織がある。文化も大きな役割を果たしており、上位の国の多くがロボットに対して全体として好意的な印象を持っているという。
「アジアはロボットの受け入れで先駆けており、米国は遅れている」「米国が世界の競争の中で競争力を保ちたいのであれば、高速に、深く、より広範囲に経済におけるロボットの受け入れを促進する政策をもつ必要がある」とAtkinson氏は記している。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。