IT企業の年頭所感2019(2):デジタルを加速する1年--新たな価値を創出へ

ZDNET Japan Staff

2019-01-11 06:00

日立製作所 執行役社長 兼 CEO 東原敏昭

 2019年は「2018中期経営計画」を必達し、次の「2021中期経営計画」でさらなる飛躍を目指すためにも非常に重要な1年です。第一に取り組むべきことは、現在進めている「2018中期経営計画」の完遂です。2016年にスタートし、この3年間、さまざまな構造改革を推し進めた結果、2018年度上期決算では、調整後営業利益、親会社株主に帰属する四半期利益などにおいて、過去最高を達成することができました。

 その次は、いよいよ新たな「2021中期経営計画」の策定・実行です。この新中計で目指すものは、日立が持つIT、OT、プロダクトの強みを生かし、社会インフラ、ビジネスインフラをデジタルで変革すること。そして、社会イノベーション事業を一層加速することで、グローバル企業から「グローバルリーダー」に変革することです。その実現のためにも、伸びる事業や各地域で成長する事業に注力し、デジタル技術を用いて新たな価値を創出することにリソースを集中させたいと考えています。そして、私たちが注力する分野において、グローバルトップポジションを獲得し、「世界に冠たる日立」を目指します。

 先日発表したグローバルナンバーワンであるABBのパワーグリッド事業の買収は、まさに、そのための施策の一つです。エネルギーソリューション事業をグローバルに展開・強化すると同時に、グローバル顧客基盤や新たに構築するエネルギープラットフォームを通して、エネルギー分野だけでなく、モビリティやヒューマンライフ、インダストリ、ITなどの多様な分野のお客さまにソリューションを提供できるようになります。ABBのパワーグリッド事業の買収は、まさにエネルギーソリューション事業が新中計で進むべき方向性を示すものです。その他の事業分野でも、グローバルトップレベルのポジションを獲得し、グローバルリーダーとなるための戦略を策定・実行してまいります。

NTTデータ 代表取締役社長 本間洋

 2018年はRPA(Robotic Process Automation)やAI(人工知能)などデジタル技術をビジネスに活用する動きが急速に本格化した年でもありました。デジタルはいまや業務効率化を目的としたものにとどまらず、カスタマーエクスペリエンスの改善や新たなビジネスモデル創出のためにますます欠かせない存在となりつつあります。その中で、NTTデータはデジタルの重点領域を定め、グローバルで連携を強化してきました。

 NTTデータは2019年を「デジタルを加速する」1年と位置付け、これまでに長年蓄積してきた経験やノウハウを基礎として、デジタルの対応力をさらに強化する取り組みを進めます。デジタル技術を活用してお客さまとともに変革を起こしていくために、グローバルで連携しデジタルの重点領域における私たちのケイパビリティをさらに高めていきます。

 NTTデータは、創業以来変わらず「情報技術で新しい『仕組み』や『価値』を創造し、より豊かで調和の取れた社会の実現に貢献する」という企業理念のもとで、日々進化する技術をいち早く捉え、お客さまや社会に新しいサービスを提案し、提供してきました。この「変わらぬ信念と変える勇気」を持って、これからも私たちがデジタル社会の先頭に立ってお客さまの発展に貢献するとともに、社会や皆さまの豊かな暮らしを支えていきます。

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC) 代表取締役社長 菊地哲

 2019年は、5G(第5世代移動通信システム)がいよいよ本格的に動きだそうとしており、決済手段の多様化を含めて新しい技術が身の回りに変化をもたらしてきます。CTCは、強みであるインフラネットワーク分野でのビジネスをさらに強化し、ハイブリッドが進むクラウドや今後の基礎技術となるAI、ますます需要の高まるセキュリティなどの分野で今後起こる変化を考えて走り続け、中期経営計画の実現に努めていきます。

 一方で、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)にある通り、貧困の撲滅をはじめ人権の尊重、ジェンダー平等、気候変動への対応など、解決しなければならない多くの社会的な課題があります。

 CTCグループの使命は「明日を変えるITの可能性に挑み、夢のある豊かな社会の実現に貢献する」ことです。再生可能エネルギーの活用支援、多量の電気を消費するコンピュータの省エネ、フードロスの削減など、CTCは、本業を通じて「持続可能な社会」の実現に貢献していきます。

日商エレクトロニクス 代表取締役社長 CEO 岡村昌一

 2018年は、当社が得意とするネットワーク商材だけでなくハイパーコンバージドインフラ関連でも多くのお客さまにご愛顧いただきました。また、2018年の双日システムズとの合併によるシナジーも進んでおり、これまで以上の成果を上げることができたと思っています。その一例が、RPA(Robotic Process Automation)導入支援サービスの立ち上げです。双日への本格導入で得た実践的なスキルやノウハウを生かして、既に幅広くお客さまの生産性向上のサポートをさせていただいております。

 さらに、ITインフラ向け運用・監視を主軸に、各種サービスの統一ブランド「Nissho Cross Platform(NCPF)」をスタート、その第一弾としてセキュリティサービスのラインアップ「Nissho Cross Platform - Cyber Security(NCPF-CS)」をリリースしました。お客さまとともに成長を目指す「ビジネス共創」の取り組みとして、今後お客さまにご評価いただけるブランドに育てたいと思っています。

 日商エレクトロニクスは、「IT」という言葉がなかった50年前から、その時々の世界の最先端テクノロジを最適な形でお客さまへお届けして参りました。この変化の目まぐるしい業界で50年間活動を継続することの難しさと、またその大切さを同時に感じています。歴代の社員たちから連綿と引き継がれてきたイノベーションへのチャレンジ精神を次の世代へも引き継いでいき、次の10年、20年もお客さまのデジタルトランスフォーメンションに貢献する「Best Partner」として精進してまいります。

NECソリューションイノベータ 代表取締役 執行役員社長 杉山清

 2019年は、デジタル化の進展が更に加速していく。AIやIoTなどの分野においては、データ市場への注目が高まり、デジタル化が産業にもたらす変革はますます進むだろう。また、軽減税率の導入や消費税増税、改元などのさまざまな動きから、社会の仕組みも大きく変わろうとしている。

 2019年度、当社は、事業構造の変革を更にスピードアップする年として、大きく次の4点に取り組んでいく。(1)独自事業における収益向上、(2)デジタルトランスフォーメーションへの対応力強化、(3)NECのグローバル戦略への貢献、(4)強化領域へのリソースシフトと人材育成。

 デジタル化の時代こそ、人の力がより一層重要になる。日本の武道や芸術の教えに「守破離」という、成長のための修行の過程を示した考え方がある。2018年は、生産性をより高めるなど、基本の習得と自律的に業務を遂行できる「守」の過程は実行できた。「守」の段階を突破し、現場力を高めた今こそ、我々は、デジタル化で素晴らしい効果を出せる力を持っている。一人ひとりが主体性を発揮し、さらに力をつけることで、「破」や「離」という次の段階へと進むことができる。この「守破離」のステップを繰り返し、個人や組織を成長させていこう。そして、先進的なICTとイノベーションで新しい価値を生み出し、お客さまや地域、社会に貢献し続けよう。

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