Mozillaは、「Firefox」に搭載する可能性のある新機能がちゃんと使えるかファンと試すために3年前に開始した「Test Pilot」プログラムを終了することに決めた。
Test Pilotでは、Firefoxの開発者が、実験的機能に関するデータを収集して、人気の有無やユーザーの利用方法を把握できた。
収集されたデータは、Firefoxに新しい機能を搭載するかどうかを判断する前に、開発者たちがその概念を迅速かつ安上がりにテストおよび検証するのに役立った。それと同じ頃、MozillaはFirefoxのアーキテクチャも見直し、2017年に「Firefox Quantum」をリリースした。
Test Pilotでは、アップロードしてから24時間以内に1度だけダウンロードできる暗号化されたファイルを「Chrome」やFirefoxから送信する「Send」や、Firefoxで開いているタブの内容をメールできる「Email Tabs」、「Screenshots」、Firefoxに保存されたログイン情報にアクセスできる「iOS」アプリ「Firefox Lockbox」などの実験が行われた。
Mozillaによると、Test Pilotは「想像できないほど優れた成果を上げた」という。
Mozilla のFirefox Test Pilot担当製品マネージャーを務めるJohn Gruen氏は、「Medium」への投稿で、Test PilotはMozillaの文化を変える働きをしてきたが、大規模になりすぎたと説明している。
Test Pilotのブラウザアドオンとウェブサイトは、「米国時間2019年1月22日に消える」と、Gruen氏は述べている。
同氏はTest Pilotについて、Firefoxの新機能を迅速にリリースしたりタイミングよくフィードバックを得たりする方法がMozillaにない時に始まったものだと説明した。現在は、Mozillaに「実験の文化」があり、プロトタイピングや軽量な検証の技術がよく利用されている。
そのうえ、今ではプロジェクトが増えすぎて1つのチームでは扱いきれなくなり、それらを管理する十分なリソースも不足しているという。
同時にそれ以外の変化も起きた。Test Pilotが次第に、Firefox向けの機能ではなく、Firefox外で稼働するサービスの実験場になってきたのだ。
Gruen氏は、Firefoxのブラウザとしての機能を超えたサービスの主な例として、Firefox Send、Firefox Lockbox、データ流出の警告サービス「Firefox Monitor」を挙げている。
そういった変化が起きている間も変わらなかったのは、FirefoxユーザーがGoogleで検索する際に得られるロイヤルティに対するMozilla Corporationの依存だ。
Mozillaが先ごろ公開した2017年の財務諸表に記載されているとおり、同年の収入5億6200万ドル(約611億7300万円)のうち、89%以上が検索エンジンのロイヤルティで、その多くはGoogleからだった。Mozillaは「Concentration of Risks(リスクの集中)」という項目で、検索エンジンとのロイヤルティ契約が2020年11月に終了すると述べている。
Test Pilot版のFirefoxアドオンを利用しているユーザーは、自動的にTest Pilot版が使えなくなる。Gruen氏によると、SendとLockboxは、スタンドアロンの製品として2019年に積極的に開発が進められるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。