調査

英企業、合意なきEU離脱は「ビジネスに悪影響」が70%--「準備できていない」は80%以上

Steve Ranger (ZDNet UK) 翻訳校正: 編集部

2019-01-18 11:33

 英国のテクノロジ企業は、欧州連合(EU)からの合意なき離脱は、ビジネスに悪影響を及ぼすことが必至で、それに対応する準備が整っていないと警告している。

 英国の業界団体techUKが会員企業276社を対象に実施した調査によれば、 関税やその他の協力体制など、今後の取り決めがないまま、2019年3月にEUから離脱すると、ビジネスに「非常に悪い」もしくは「かなり悪い」影響があると考える企業が70%近くに達した。「非常によい」もしくは「かなり良い」影響があるとする企業は、わずか5%だった。

 テクノロジ業界は長らく、EUからの合意なき離脱は、英国と欧州間のデータの流れに問題が生じるほか、欧州から優秀な人材を雇用したり、英国人が欧州で働いたりするのが困難になると警告していた。またテクノロジ企業は規制や貿易のほか、投資の行方について懸念を示している。実際、2018年はベンチャーキャピタルによる投資が落ち込んでいるするデータもあり、恐れていたことが実現している可能性がある。

提供:techUK
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 また調査から、回答者の84%が、英国は合意なき離脱に対する準備ができていないと考えていることが分かった。

 合意なき離脱に対して、いくつかの、もしくは多数の「積極的な手段を講じた」企業は51%に過ぎず、42%は何も対策を講じていないと回答した。こうした準備の有無は、企業規模によってばらつきがあった。従業員数が50人未満の小企業の場合、何も対策を講じていない企業は65%に上った。一方、従業員数が50〜249人の中企業は50%近くが対策を講じており、大企業はその割合が83%に達した。対策としては、部品の買い込み、契約内容の見直し、従業員や事業の英国外への移転などが挙げられた。

提供:techUK
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 techUKが、合意なき離脱に備えていない理由を尋ねたところ、どのような影響がある予測できない(49%)や、どのような対策を講じたら良いのか分からない(37%)といった回答が多く寄せられた。

 この調査は、英議会下院による離脱協定案の採決に先立ち、2018年12月に実施された。現地時間1月15日に大差で否決されてしまったが、否決された場合にどうすべきかという質問に対しては、回答が分かれていた。再び国民投票を行うことを第1の選択肢に挙げた回答者は半数に達し、上位3つの選択肢に含めた回答者は63%だった。また上位3つの選択肢に、さらなる交渉の時間を確保すべく、(EUからの離脱の手続きなどを定めた)リスボン条約50条に基づく英国のEU離脱手続きを延期することを含めた回答者は64%を占めた。

 合意なき離脱を第1の選択肢に挙げた回答者は11%に過ぎず、上位3つの選択肢に含めた回答者は27%だった。また、第1の選択肢に総選挙を挙げた回答者はわずか2%だった。

 techUKの最高経営責任者(CEO)であるJulian David氏は、「多くの中小企業は、合意なき離脱に効果的に備えるために必要なリソースや情報が不十分だ。そのためデータの自由な流れ、規制、雇用など、テクノロジ分野にとって重要な問題について、高度な連携やEU市場へのアクセスを可能にする取り決めと、将来的な関係を望んでいる」と述べた。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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