編集部からのお知らせ
New! 記事まとめ「ISMAP-LIU」
話題の記事まとめ「通信障害と社会リスク」
海外コメンタリー

英EU離脱でIT業界が憂慮する問題

Steve Ranger (ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-07-19 06:30

 英国政府は、欧州連合(EU)離脱後のEUとの通商関係に関する見通しを発表したが、同国のIT企業には、これによって不利な立場に立たされる可能性があるとの懸念もあるようだ。

 英国のTheresa May首相は、EU離脱後に関する同氏のビジョンを示した。このビジョンによれば、英国は物品の取引に関しては基本的にEUのルールや規制に従うが、一部についてはEUのルールに従わずに済む権利を留保しようとしている。

 またサービスに関しては、柔軟に独自のルールを定めようとしている。ただし英政府は、この措置によりEU市場に対するアクセスが現在よりも限定的なものになることを認めている。

 しかし、英国のIT業界団体techUKは、最終的な離脱協定で英国がサービスの欧州単一市場から実質的に除外されることになれば、英国のデジタル経済は欧州の競合企業に比べ著しく不利になると警告している。

 techUKの最高経営責任者(CEO)Julian David氏は、「IT分野の輸出の80%はサービスであり、わが国の最大の取引相手が依然としてEUである以上、この問題は非常に由々しき事態を引き起こすだろう」と述べている。「英国のIT業界は、EUからの離脱に明確なメリットを見出していない。実際、データ保護などの重要な問題については、連携を維持すべきだという強いコンセンサスがある」

 物品だけを自由貿易の対象とし、サービスを除外する協定が結ばれれば、欧州と取引のある英国のIT企業は、2つの相いれない規制制度に対応しなくてはならない上に、顧客に対して所在地によらず同条件でサービスを提供できると保証できなくなる。

 このアプローチはまた、多くの製品にはサービスやデジタルコンポーネントが付随している現状にも対応できない。例えばエンジンは、もはやそれ単体で完結した単なる工業製品ではなく、多数のセンサが組み込まれたIoTデバイスであり、製品そのものと同じくらい収益を生むメンテナンス契約とも結びついている。EU離脱の条件がこのトレンドに対応できるものでなければ、ビジネスに問題が生じる可能性がある。

 「そのような協定は、運用するためにサービス契約が必要な物品の数が増えている現状を無視しており、離脱によって、英国のデジタルサービス企業が欧州のサプライチェーンに参加することが難しくなるだろう」とDavid氏は言う。

 また「物品の流通だけを維持したEU離脱は、英国のデジタル経済の強化に寄与しない。そうなればバランスを欠いた離脱になり、企業にとっては複雑さを、消費者にとっては混乱をもたらすだろう」と同氏は付け加えた。

 英首相の公式別荘「チェッカーズ」でとりまとめられた今回の閣僚間の合意は、英政府が同国の経済にとって、EUと近い距離を保つことが重要だと判断したことを示している。

 労働党下院議員のStephen Timms氏は、EU離脱について、「実際問題として、わが国は欧州連合と協調するか、距離を取るかを選ぶ必要がある」と述べている。

 「首相はそのどちらかを選択せねばならず、結果として協調を選んだが、私の観点ではこれは正しい選択だ。私の考えでは、首相の発表は明らかにこの議論の一方の側を支持している。この決断が成されたのは初めてのことだ」

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNet Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]