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調査

給与が増えない日本、ITの給与はアジアでも低めに--英ヘイズ調査

末岡洋子

2019-02-07 15:20

 外資系向け人材派遣業の英Haysの年次調査「2019年ヘイズ給与ガイド」によると、この1年の日本の給与の昇給率はアジア5カ国でも最低レベルだという。中でもITについては、国境を越えたスキル人材の争奪戦が繰り広げられる中、データサイエンティスト、人工知能(AI)などの分野で中国、香港、シンガポールより年収が低いという結果になっている。

 同社の日本支社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンが2月7日、「2019年ヘイズ給与ガイド」日本語版の発表に合わせて都内で説明会を行った。この調査はHaysが年に1度行っている調査のアジア版。日本、中国、香港、マレーシア、シンガポールの5カ国で、1224種類の職務に従事する5171人を対象に行った。今年で12回目となる。

 日本は給与の昇給率が最も低く、前年比の昇給率は「3%以下」が最多の46%を占めた。5カ国で最も多い(37%が回答)層は「3~6%」だった。日本で回答率が多かった昇給率は「3%以下」(46%)に続き、「3~6%」(25%)、「昇給なし」(20%)となり、「6%以上」は9%だった。

 アジアでは「3~6%」(37%)、「3%以下」(27%)、「6%以上」(21%)、「昇給なし」(15%)の順だった。総じて、アジアの他の国では多くの人が昇給を経験しているのに対し、日本は昇給があまり進んでおらず、率も低いと言える。


 企業(雇用主)に尋ねた2019年の昇給率予測についても、日本企業の52%が「3%以下」と回答した。これに対し、アジアの他の国では「6%以上」が17%、「3~6%」が38%を占め、日本はアジアより低い結果が見られた。

 このように日本の昇給率はアジアの中で低いが、労働者の給与への満足度は改善しているという。調査で「とても満足」と回答した人は、前年から25%増加して61%を占めた。

 一方で、日本が深刻なスキル不足に陥っている側面も浮き彫りになった。「必要なスキルを持った人材を採用できない」という予測は、アジアの45%に対して日本は61%、「ビジネス上の目標達成のために必要な人材がいない」はアジアの33%を上回る54%だった。

 ITについて同社は、「ビジネス開拓担当シニアマネージャー」「AI専門家(深層学習プロジェクトマネージャー)」「データサイエンティスト」「IoT技術者」「サイバーセキュリティコンサルタント」の5分野での給与を紹介した。5分野のうち、日本の給与額の順位が5カ国で最も高いのはサイバーセキュリティ職で、香港に次いで2位。データサイエンティストは3位で、AI、IoT、ビジネス開拓マネージャーは4番目となっている。特にAIは香港の4分の1にとどまった。ヘイズ・ジャパン マネージングディレクターのMarc Burrage氏は、「日本はIT分野の人材採用に最も苦戦している」と述べる。


ヘイズ・ジャパン マネージングディレクターのMarc Burrage氏
ヘイズ・ジャパン マネージングディレクターのMarc Burrage氏

 これらに加えて、「2019年ヘイズ給与ガイド」では最高情報責任者(CIO)、ソリューションアーキテクトなどについても報告しているが、ともに日本の給与は中国、香港、シンガポールよりも低い。

 ITは技術の移り変わりが激しい上、ビジネス上の重要度が高くなっているため、IT人材は国際的にスキルある人材の争奪戦が見られる。中でも中国はトップのIT人材に対する昇給率をアップするなど積極的に動いているという。

 ヘイズによると、中国におけるデータサイエンティスト職の昇給率は前年比98%で、ほぼ2倍にアップした。日本で昇給が見られたのは「AI開発者(Java、C、C++、Python)」(20%)、「サイバーセキュリティ」(18%)の2種だが、これらについても、中国ではそれぞれ60%、21%と昇給率が上回っている。この他に中国の昇給率が高いITスキル分野として、「データサイエンティスト」(前年比67%)、「深層学習プロジェクトマネージャ」(同30%)、「IoT」(24%)などが上げれたが、これらにおける日本の昇給率はゼロとなっている。

 Burrage氏は、外国籍のエンジニアを一気に44人採用したメルカリや、ベトナムに海外法人を立ち上げて現地で優秀な人材を活用するマネーフォワードなどを挙げながら、日本企業における海外の人材獲得の動きを指摘した。ヘイズが日本で人材採用を手伝っているケースでも、IT人材は約60%が海外人材という。

 同氏はITの人材不足に対する選択肢として、(1)他の国と競争して人材確保する、(2)既存の人材のスキルアップ、(3)将来の人材を開発するために教育システムから着手する――の3つを挙げる。そして、日本では(3)の育成面が遅れていると指摘し、「早期段階でスキルの醸成や育成が行われていない。政府はSTEM(科学/技術/工学/数学)など教育制度の見直しにより対応しようとしているが、結果が出るまでに数年はかかる」と述べた。

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