IDC Japanは、IoT(Internet of Things)市場の支出額の予測を発表した。
これによると、IoTに対する世界の総支出額は、2019年に7450億ドルに達する見通し。これは2018年の支出額6460億ドルを15.4%上回る。また2017~2022年の予測期間中、全世界のIoT支出額は2桁の成長率を維持し、2022年には1兆ドルの大台に乗ると予測される。
産業分野別に見ると、2019年にIoTソリューションへの支出額が最も大きいと予測される産業は、組立製造(1190億ドル)、プロセス製造(780億ドル)、運輸(710億ドル)、公共/公益(610億ドル)で、5年の予測期間中最も高い年間平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)が予測される業種は保険(17.1%)、官公庁(中央官庁)(16.1%)、医療(15.4%)だった。
製造業におけるIoT支出は、製造オペレーションをサポートするソリューションと、製造アセットの管理をサポートするソリューションの2つが中心になると予測される。運輸では、輸送貨物管理、次いでフリート管理にIoT支出額の半分以上が費やされる見通しで、公共/公益におけるIoT支出は、電気、ガス、水道のスマートグリッド/スマートメーターが大半を占めると予測される。また、家庭向けのIoTに関しては、予測期間中ではスマートホーム(オートメーション)とスマートホーム(家電)がどちらも強力な支出額の伸びを示し、全体として個人消費者が最も成長の早い産業分野になる原動力となり、5年間のCAGRは17.8%と予測している。
2019年に支出額が最も大きいと予測されるIoTユースケースは、各産業で支出額が最も多い分野が主力になる。具体的には、製造オペレーション(1000億ドル)、製造アセット管理(442億ドル)、スマートホーム(441億ドル)、輸送貨物管理(417億ドル)。また、2017~2022年の予測期間中、支出額の成長率が高いと予測されるIoTユースケースは、空港設備管理(運輸)、EV充電設備管理(公共/公益)、農業フィールド監視(資源)、院内クリニカルケア(医療)、小売店舗内リコメンド(小売)が挙げられている。
2019年のIoT関連のサービスは、最大のテクノロジカテゴリーとなる。IoTに関わる導入サービスおよび運用サービスに2580億ドルが投入される見通しで、ハードウェアの支出額は2500億ドル弱と予測される。2000億ドル以上の支出が予測されるセンサ/モジュールが中心で、ソフトウェアの支出額は、2019年は合計1540億ドルと予測される。5年の予測期間におけるCAGRは16.6%で、サービスの支出額もCAGRが14.2%と、全体的なIoT支出額の伸びを上回る成長率が予測される。またIoTコネクティビティの支出額は、2019年は合計830億ドルと予測されている。
さらに国別では、2019年にIoT支出額が最も多い国は米国と中国で、それぞれ1940億ドル、1820億ドルと予測されている。次いで、日本(654億ドル)、ドイツ(355億ドル)、韓国(257億ドル)、フランス(256億ドル)、英国(255億ドル)の順になる見通し。予測期間中にIoT支出額の成長率が最も高いと見込まれる国は全てラテンアメリカ諸国で、メキシコ(28.3%のCAGR)、コロンビア(24.9%のCAGR)、チリ(23.3%のCAGR)と予測されている。