日立製作所は2月28日、人工知能(AI)を利用して最適な物流の配送ルートを立案するという「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービス」を発表した。4月1日から日本と中国、タイで提供する。
新サービスは、納品日時や物流センター/拠点の位置、走行ルート/時間、渋滞、積荷/滞店時間、車格、ドライバー条件などのデータを全て変数化し、熟練ドライバーの経験(トラックの横付けスペースの利用順序の決定、複数ある配送候補日の調整など)から日立独自のアルゴリズムによるデータ分析を行うことで、効率的な配送計画(車両単位の配送先、配送日時の割り付けや配送ルート、積載率、稼働時間・走行距離など)の自動的に立案する。
また、GPSで配送車の走行記録を取得し、データ連携によって自動的に配送実績も作成できる。利用者は配送計画と実績の比較や可視化による把握が可能。日立はこれらのデータの分析から計画立案の精度向上を支援するほか、今後は利用者自身でも分析ができる機能を追加する予定だという。
物流の課題として日立は、日本では電子商取引の拡大やドライバー人材の不足、長時間労働など、中国やタイでは製造業などのミルクラン(巡回集荷)や共同配送のニーズの高まりがあると指摘する。
現状では熟練者の経験に依存して配送計画を立案するケースが多いといい、日立はAIやデータ分析技術の活用を加味することで、より精度の高い計画を効率的に立案できるようになると説明。同社が三井物産と行った実証実験では、トラック台数を最大で約10%削減し、熟練者と同等かそれ以上に実行性のある配送計画の立案が可能という効果が確認されたとしている。
同社は、IoTプラットフォーム「Lumada」を利用した新サービスと既存システムや他社サービスのデータ連携も可能として、利用者の希望に合わせたデータ活用環境も構築できるという。