たとえば「注文後にギフトサービスを追加することが可能か」との問い合わせが届いた際、問い合わせの種別や原因、SV(スーパーバイザー)に案件を渡すエスカレーション、優先度などを自動的に割り当てる。「決済時にエラーが発生」との問い合わせに対しては優先度を高めると同時にSVにエスカレーションすることで、エンドユーザーに対する迅速な対応とオペレーターの負荷軽減が可能になるという。
Einsteinケース分類は、蓄積されたデータをもとに毎月モデルを更新して精度を向上させる仕組みだが、フランスのIT系企業であるZENCONNECTはEinsteinケース分類がケース項目の値を予測し、手動作業を削減。さらにセールスフォースの各サービスで業務手順を最適化することで項目入力率は従来の3倍、1件あたりの処理時間を25%短縮させた。
Einstein Next Best Actionは名称からも分かるようにエンドユーザーに対して、“次に取るアクション”をAIが提示する機能である。
「Einstein Next Best Action」の概要
事前に“戦略”と呼ばれるロジックを、ストラテジービルダーページで分岐や条件などのブロックをドラッグ&ドロップで組み合わせたフローチャートを作成。前述した2つの問い合わせを例にすると、前者の場合はオペレーターの画面にギフトサービスの提供を推奨するメッセージが現れる。後はオペレーターが実行の可否を判断すればよい。後者の場合はトラブルに見舞われたことから離反率も高まることから、キャンペーンやクーポンの案内を推奨する。
バックグラウンドではLightning Flowが稼働しているが、IT管理者が設定してしまえば、オペレーターがその存在を意識する必要はなく、「新人でもベテランオペレーターと同じ対応が可能。オペレーターの学習率向上やトレーニングコストの削減、収益に貢献するプロフィットセンターの役割を担わせることもできる」(大森氏)
Einstein Next Best ActionのベースとなるデータはCRMデータに限らず、「IBM Watson」やGoogleの「BigQuery」などセールスフォースがパートナーシステムとして定めたプラットフォームのデータを組み合わせることが可能。たとえばWatsonから天気予報データをトリガーとして、問い合わせが増加した場合の対応などを変更できるという。欧州の大手電子系企業は本機能の導入で、クーポン券を送信するまでの平均保留時間を88%短縮できたとしている。